親の会社を継ぐべきか継がないべきか迷っている
会社を辞めて、親の会社に入ろうとかと思う
子供に会社を継がせたいか、社員の理解が得られるか
こんな悩みは、なかなか話し相手がいませんし、
ましてや、近くに経験者がすくないと思います。
僕は、25年前に、新卒で入って住宅メーカーの営業職に疲れて、
親の会社に入りました。
いろいろありましたが、その会社を継ぎ、
いまでは、新規事業を他に3社立ち上げました。
ですから、2代目として事業継承と後継者の立場、
そして、創業者の立場と、その両方を経験したうえで、
2代目教育について書きたいと思います。
※音声だけの動画なので、通勤や運転の際に聞き流すことができます。
2代目教育は、2代目にしかできない、それは不安の心理
中小企業の2代目教育のポイントは3つあります。
- 2代目教育は「他人の飯を食べるべき」
- 社内で現場はもちろん、すべての部署を経験する
- 2代目は不安に打ち勝つよりも、不安と友達になることが大事
・2代目教育は「他人の飯を食べるべき」
最初にお話ししたとおり、僕は、大学を卒業して、1部上場の住宅メーカーで営業を経験しました。
いまのことは分かりませんが、当時は、なかなか過酷な職場で、営業の厳しさと上司と部下、先輩後輩の人間関係の基本を叩き込まれました。
そのときは、苦しくて苦しくて、営業成績の上がらなかった月末や、その月の営業会議はいやでいやで仕方なかったです。
でも、そうした経験こそが、自分を成長させ、事業継承の困難においては、仕事の基礎体力となって、おおいに助けれました。
お給料をもらって、社会人教育をしてもらったといえますので。
お世話になった会社や、当時の上司・先輩には感謝気持ちでいっぱいです。
ぼくの体験からは、異業種の会社で2~3年ほど、社会人としてのスキルや厳しさを学ぶには、大会社に就職するのは大変良いと思います。
ただし、同業種だったり、修行のつもりで入った会社にあまり長くいすぎると、事業継承するのが難しくなるかもしれません。
僕は、予備知識がなく、IT業界に飛び込んだので、勢いで乗り切りましたが、下手に頭でっかちだったら怖くてやりきらなかったと思います。
・社内で現場はもちろん、すべての部署を経験する
僕は将来、会社を継ぐ立場で小さな中小企業に入ったわけなんですが、といっても当時80人くらい社員がいました。
肩書は、マネージャーでした。日本の会社でいうと、課長とか、課長代理くらいだと思います。
同年代の社員は、肩書無しの平社員でしたから、大会社から転職ということもあって2階級特進という恰好でした。異業種なので、キャリア的には全然役立ちませんでした。
それで、職種は、営業推進室という名前で、営業のサポートをやってました。
電話の取次ぎから、営業会議の資料の作成などです。住宅の営業に疲弊しており、営業以外のポジションでと入社前に、社長に泣きを入れてましたのでそうなりました。
ただ、流石に、いい若者を、いつまでもそんなところに置いておくわけにもいかず、
その後は、IT製品のサポート部隊や、営業の新規開拓チームなど、ソフト開発以外はすべてを経験しました。営業になってからは、個人としては数字の実績も残しました。そして、ね2人ぐらいの部下と3人チームのマネージャーとしても、ぼちぼち成績上げるというところまでは行きました。
実は、ソフト開発部門は、大学生時代に一時期アルバイトの経験があったので、入社前に唯一、人的な繋がりのある部署だったので、そういう意味では、会社のすべてを部署を経験したといえます。
入社時に、25歳と若かったので、営業に移ってからは、年上の部下を持つことにもなりました。
これから若い人が、親の会社に入るのだったら、やはり経験した方がよいのは、営業とかマーケティングの部署ですね。全部の部署を経験しなくても、どれか突出したものがあれば、社員を納得させることもできるからです。
とりわけ、売上に直結する部署で数字をあげれば、分かりやすいですから。
YouTube や、ブログ、SNSで会社の情報・コンテンツを発信して、マーケティングに繋げていったりとかをお勧めします。
・2代目は不安に打ち勝つよりも、不安と友達になることが大事
2代目っていうのは、創業者と違って、不安定な存在です。
創業者は、自分のやりたいこと・ビジョンがあって、事業を立ち上げ、機関車のように、猛烈に組織を引きずっていくタイプの人が多いです。
貧乏だったり、地方出身であったり、学歴だったり、コンプレックスがあって、それを乗り越えるハングリー精神を上手く活用して、仕事を伸ばすことが得意だったりします。
一般的な2代目は、僕を含めてこうした要素を持ち合わせていません。
ちなみに、社長交代時に僕のミッションは「借金返済でした」し(苦笑)。
むしろ、不安の方が常に大きいと思います。
自分に社長が務まるのか?
借金返済のプレッシャーに負けてしまうのではないか?
社員はついてきてくれるのか?
会社を潰したら、家族を路頭に迷わせることになるのではないか?
他にも、幾らでも不安なことあったと思います。
たぶん、これを創業者である父親に相談したら、そんな弱い気持ちではダメだ。
もっと仕事に打ち込んで、弱い気持ちに打ち勝つのだ!
あるいは、弱い心がでてきたら、酒を飲んで忘れろ。
とでも言ったかもしれません(実際には、相談しなかった)。
でも、僕は途中からあることに気づいてしまいました。
それは、2代目にとって、この不安感を消し去ることは難しい。
なぜなら、創業社長と同じようにはなれないから、というのがその答えです。
この章の最初に、僕のミッションが「借金返済」と書きましたが、
実際に、借金を完済したときに、燃え尽き症候群になってしまいました。
当時は、家を新築したばからいだったので、半年くらい、ひたすら庭仕事をやっていました。
ですから、2代目が仕事の中で自分の人生を生きるためには、
盲目的に、親のミッションを受け継ぐのではなく、
いったんは、ミッション・ビジョンを持たない自分が会社を率いる「不安」をあえて受け止めながら、不安と友達になって社長業をやると良いです。
変に自分の気持ちに蓋してしまい、自分や自分の人生を見失っている2代目を見かけますが、とても残念に思います。
別に、会社の維持・存続が「ミッション」でも良いと思いますし、あえて他人に言う必要もないでしょう。
そんなこんなをしているうちに、自分なりのミッション・ビジョンが生まれてきたり、他にやりたいことが見るかるかもしれません。
いえ必ず、でてきます。
まとめ
本当は、冒頭でさらそうと思ったのですが、それでは、誰にも読んでもらえなくなるとまずいと思って、最後に、恥ずかしいエピソードを書きます。
ここまで、まるで成功者のように書いてきましたが、本当のところは「まるでダメ人間」です(最初に入社した会社の先輩に言われた実際に言葉です)。
大学は2浪して、ようやく入った学校には、「対人恐怖症」で引きこもり、半年間通えませんでした。
ようやく元気になったら、時はバブル、親に高級車の「ソアラ」を買ってもらい、それを乗り回していました。
就職活動では40社近くの会社を落ちました。
ドラマに出てくるような、絵にかいた「バカ息子」「ドラ息子」でした。
あの名作ドラマ『ふろぞいの林檎たち』のパート3にでてくる会社をつぶす「ドラ息子」です。
柳沢慎吾演じる西寺実を、学生時代はいじめ、卒業後、自分の会社の営業部長に入れるも、会社が倒産してしまうエピソードがありました。
そんな僕でも、上記のような「2代目教育」を経て、
とりあえず継いだ会社もつぶさず、新規に会社を4社立ち上げて、今に至ります。
中小企業の2代目教育のポイントは3つあります。
・2代目教育は「他人の飯を食べるべき」
・社内で現場はもちろん、すべての部署を経験する
・2代目は不安に打ち勝つよりも、不安と友達になることが大事
不安だけど、親の会社を継ごうかと迷っているあなた、迷うぐらいなら辞めるのも一手です。
思っている以上に大変です。
でも、えいやと継ぐことを決めたあなた、僕は、心からあなたの勇気を応援します。
若さと勢いで乗り切りましょう。
仮に、人生失敗しても、何度でもやり直しができますから。
ぜひ、ダメな息子・娘をお持ちな社長も、諦めずに希望をもって、「2代目教育」に頑張ってください。
なんとか、子供に会社を継がせたいあなたは、子供に貢ぎましょう(笑。
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