ゲーリー・M・コーキンス著「ABCマネジメント」JMAN

目次
第1章 ABC/ABM成功の条件
第2章 ABC/ABMシステムの失敗の原因
第3章 コストの流れを把握する
第4章 ABCはコストの流れ
第5章 相互に影響しあう時間、コスト、そして品質
第6章 ABC/ABMの導入実践‐その1‐成功への準備段階
第7章 ABC/ABMの導入実践‐その2‐実地導入ステップ
第8章 ABC/ABMについての誤解
第9章 ABC/ABMシステムの運営
第10章 ABC/ABMへの考察

◆代表的な経営改善手法
◎学習する組織
-知識取得のための組織内での学習競争。組織の学習スピードが最重要とされるもの。
◎サイクルタイムマネジメントとTQM(総合経営品質)
-達成可能な計画に対する不適切な対応は、結果の質を低下させるというもの。
◎コアコンピタンス
-市場競争力を作り出す自らの長所を追求し、比較的劣った重要性の低い部分をアウトソーシングするというもの。
◎組織行動(変革のマネジメント)
-人の重要性を説くもの。組織変革の抵抗や、インセンティブや権限委譲は軽視できないとされる。
◎プロセス改革・改善(ビジネスプロセスリエンジニアリング)
-優れたプロセスは、商品そのものよりも、企業の長期的な競争優位維持に貢献し、常に革新的であるべきというもの。

◆ABC/ABMの4つの目的
1、低付加価値活動のコストを削減したり、もしくは最小化すること。
2、ビジネスプロセスにおける能率や効果のアップ、さらには生産性向上を果たすための付加価値活動を速やかに実行に移すこと。
3、問題の根本原因を発見し、その是正を行なうこと。コストに注視していれば問題の徴候は発見できる。
4、不適切な仮定や配賦により発生するコストの歪みを取り除くこと。

◆ABC(活動基準原価計算)
◎リソースコストを、アクティビティに配分し、さらに企業のアウトプット(コストオブジェクト)に配分する

◆ABCM(活動基準原価管理)
◎企業のコスト構成やコスト変化の仕方、コストメカニズムを理解し、業務を改善する

◆ABM(活動基準管理)
◎ABC情報に基づいて積極的に戦略的ないし業務上の意思決定を行い、ビジネスプロセス内において
付加価値を生んでいる仕事を評価する

◆商品やサービスのコスト(ABC)
◎できる限りの配賦をすることなく、直接原価計算を行なうことが重要だ。この理由はつぎのとおりである。

-個々の顧客のさまざまなニーズにより、商品やサービスの多様性が拡大し、その結果として間接費が増大している。
これらの間接費のほとんどは、「誰(どの顧客)」や「何(どの商品)」に対して使われたかについて、
間接アクティビティを通して、因果関係をもとに跡付けていくことができる。コストが再分配される「誰」
や「何」のことをABCでは「コストオブジェクト(原価対象)」と呼ぶ。
-可能であればすべてのコストは直接賦課(直課)すべきであろうが、技術の発展とともにより多くのコストが
間接的になりつつある、ABCは、アクティビティコストを使って間接コストをコストオブジェクトに直課する
役目を果たす。伝統的で歪んだ「ピーナッツバターをのばすような」配賦は、ABCに役割を譲りつつある。
ここでは配賦は最後の手段である。

◎ABCでは、商品やサービスなどのコストオブジェクトが、それらのために行なわれているアクティビティと
アクティビティコストを通して、それぞれどのようにリソースコストを消費しているかを捉えることができる。
これを行なうことは伝統的財務会計では難しい。このようなコストオブジェクトやアクティビティ別に
コストの必要性や使い方が異なることを、「リソースコスト消費の多様性」と呼んでいる。

-コストを割り当てるためだけの配賦は、便利ではあるが恣意的で関連性を持たない。
-実際には、商品やサービスのコスト消費のパターンが多様である場合でも、配賦は一つの基準を適用する。
この数値は、複数のコストオブジェクトがある場合には当然に、ある特定のコストオブジェクトの
コスト消費のパターンを代表する値にはならない。

◎伝統的な財務会計システムは、コスト配賦を続けることにより、商品やサービスの本来のコストを歪めてしまう。
したがってそれらの貢献利益も歪められることになる。ABCは、コスト配賦からの歪みをうまく取り除くことができる。
配賦のない会計システムは、公害のない環境のようなものである。ABCは、企業全体のための直接原価計算システムを提供する。

◆伝統的財務会計の問題点
◎会計担当者は、重要なコストよりも、簡単に計算できるコストを問題にする。そして時代遅れの伝統的会計制度は、
管理者や従業員がそれぞれの目的に必要なコストとは何であるかを理解することを妨げる。
◎見えているコストのうち、「勘定科目表」と「部門別原価計算」は機能(部門)的な考え方を助長する。
◎「コスト配賦」のために商品やサービスのコストが歪められている。
◎ABC情報こそが、プロセスベースの改善を導き、よりよいアイデアを引き出すことができる。

◆予算編成の問題点

◆標準原価計算の行く末

★最初にお断りすべきでしたが、ABCの中級者以上向けの本を取り上げてしまったので、かなり難解です。
以前、ホリエモンの本にも出てきましたが、メールで日報を入力すると自動的に決算が締まるという仕組みが、
恐らくこの考えに基づき開発されたシステムだと思います。 極端な話、営業交通費5000円をA社、B社、C社に割り振っていくような細かい話です。
ただ一般論として、費用においては人件費が一番割合が高いので、それを細かくするためには、 社員1人ひとりの活動時間を記録しておいて、それに基づいて費用を配分するのです。
そのために、ライブドアでは、SEを始め社員一人ひとりがジョブコードをいう番号を持ちいて、 どんな仕事をしたのか日報メールで毎日記録を残し、システムがそれを集計するという仕組みを作っています。
これは従来の部門別(部署別)はもちろん、商品別・サービス別・顧客別の損益を把握できるようにするのが目的です。

中小企業でこの手法がどこまで必要か、現時点では疑問です。かかるシステムコスト、社員一人ひとりの手間隙というコストパフォーマンスを考える時、今すぐの課題がほかにあるというのが、現実ではないかと思います。
ただ、この考え自体は、人件費が高い以上ますます主流になることは予測されます。もしかすると、近い将来、経理の仕事は、お金・予算の管理が中心から、人の時間・予定の管理が中心へと様変わりするかもしれません。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog