塚越 寛 (著)『いい会社をつくりましょう。』
文屋 ; ISBN: 4990085876 ; (2004/09)
目次
はしがき いい会社をつくりましょう。―後輩に伝える経営理念
プロローグ(働ける、それだけでありがたい
自分の仕事を天職と信ずること ほか)
第1章 目的と手段(運をつかむ目的と手段をとり違えない ほか)
第2章 自然体経営(末広がりの八の字経営成長は必ずしも善ではない ほか)
第3章 開発型企業として“種まき”を
第4章 モラール経営(最良の合理化は「モラールアップ」モラルとモラールは連動する ほか)
第5章 「かんてんぱぱガーデン」に込めたこころ
エピローグ 学ぶ目的
◆働ける、それだけでありがたい
『栄養不足と過労がたたり、二年生の時に肺結核を患って、そのままやむなく退学してしまい
ました。三年間の入院中に身長が15センチ伸びましたから、青春時代をすべて療養に
費やしたようなものでした。・・』
『長い入院生活で、ただ伏していることがいかにつまらなく、つらいことかを知ったのです。
病室の窓の外を歩く人がいます。外を歩ける。それだけのことが、どれほど幸せなことか、
悟りました。職業や会社は、いかようでもいい、と毎日思っていました。いまでも、
健康の大事さ、働くことの大切さ、生きることのありがたさを、こころから、
感じつづけています。』
◆自分の仕事を天職と信ずること
『人のためとか、会社のためというより、若い時の苦労は結局、自分のためになります。
「人生の喜びは、苦労すればするほど、大きい」と思って、自分に言いきかせてきました。
人と職業との出会いは、ほとんどが運命的なものです。だれもが一番望む職業について
いるわけではないと思います。
時代が変わって、「自分がやりたい仕事をすることが一番いいことだ」といまの若い
みなさんは言いますが、何が自分に一番向くかということは、案外分からないものです。・・』
◆社員の幸せを通して社会に貢献したい
『会社は、経営者のために存在するのではなく、一緒に苦労してくれた仲間たち全員のものだ。
会社は社員の労苦に報いるために、発展し、利益を生まなければならない。会社の発展を
通して、社員がみな、幸せになり、社員の幸せを通して社会に貢献するべきだ』
◆社是
『いい会社をつくりましょう。
~たくましく そして やさしく~ 』
◆人件費は「費用」か
『人件費は、幸せを求めて働く社員たちの労働への対価であり、この支払いは企業活動の
目的そのものです。当社では、「ファミリー」としての意識から、人件費の総額が
多いことはいいことであると思っております。削減の対象とすべき「費用」ではないと
いう考え方です。』
◆急成長をしないことも社会貢献
◆安定成長につながった「売らない」決断
◆商道の欠如がもたらしている不況感
◆決算は三年に一度くらいがちょうどいい
◆セレンディピティ
◆最良の合理化は「モラールアップ」
◆努力のあり方を評価する仕組み
『先に、会社の事情による人員整理は決して行なわないと話しましたが、どんな人でも
見境なく雇いつづけるということではありません。自己啓発を怠り、進歩が止まり、
会社の成長についていけないような社員には、職場を替えたり、会社を辞めていただい
たりすることもありえます。
どんなことにも陰と陽の両面があり、権利の前に責任と義務があります。
夢なき者に計画はなく、計画なき者に実行はなく、実行なき者には成果が期待できません。
すべての社員に、自分の能力をみずから鍛え、高めていく姿勢が求められます。
人も会社も、現状に疑問をもち、改革することによって進歩していくのだと信じます。』
★稲盛和夫さんのおっしゃる、会社の目的と通じるところもたくさんありますが、
会社の規模を考えると、
安定成長という考えは、決定的に異なると思います。
全ての企業が上場を目指しているわけではないでしょうし、
業種・業態によっては、小規模のままのほうが、適しているケースもあると思います。
とりわけ、今の二つの大きな問題のあとでは、
塚越社長のお考えが、より一層、光ります。
本日は、この辺で。