コロナ不況で自社ビルを売却しようかと思っているが、いまが売り時なのかな?
自社ビルの売却はどんな手順でやればよいのか分からない?
売却を周囲に相談したら反対されたので、やっぱりやめようかな。
自社ビルの売却について、こんな悩みはありませんか?
創業者である父親の自社ビル購入が失敗で、
会社再建のために、父親の夢だった東京の日本橋にあった自社ビルを、
無情にも売り飛ばした、僕が、自社ビルの売却の具体的なやり方について解説します。
※以下、音声だけの動画なので、通勤の際など聞き流せます。
コロナ不況で「自社ビルの売却」具体的なやり方3ステップー事業継承の失敗
売却の具体的なやり方
- ビルの売却のメリット・デメリットを検討して、自らが売る決心をする
- 関係者にビル売却の同意を取り、銀行から追加融資を受ける
- 不動産仲介会社に売却の相談、移転先を探す
1、自社ビルの売却のメリット・デメリットを検討して、自らが売る決心をする
まずは、自分自身が自社ビル売却について、岩より硬い決意を持つことが大事です。
なぜなら、ビル売却につては、ほぼ全員が何らかの理由をつけて反対します。
それを、説得するだけの材料持たなければいけないからです。
【自社ビル売却のメリット】
- 売却資金を借入金の返済に充てることで、財務状況が大幅に改善する。
- 老朽化したビルのメンテナンスや、テナントからのクレーム対応から解放されて、急な修繕費が不要になる。
- テナントの解約などによる賃貸収入が入られなくなるリスクがなくなる。
- 会社の財務評価が、ビルの時価評価に振り回されることがなくなり、自助努力の世界になる。
- 必要に応じて、賃借オフィスを見直すことができるようになり、不動産コストを効率的にできる。
【自社ビル売却のデメリット】
- オフィスを賃貸することによる賃料の発生
- 自社ビルを失うことによる社員のロイヤリティの低下、顧客の不安感をさそう。
- オフィス空間のゆとりを失う(一般的に自社ビルの場合、無駄に広いスペースを使っている)
- 空きスペースを賃貸に回していた場合には、家賃収入を失う
例えば、以上のような自社ビル売却によるメリット・デメリットを、よく検討する必要があります。
その上で、売却した場合の財務シミュレーションを行います。
当然、売却額は事前に決めることができないので、理想的、一般的、最悪のケースと3パターンくらいの
売却想定額でシミュレーションをします。
おそらく、最悪のケースでは、手元資金を厚くしておかないと、資金繰りに支障をきたすと思います。
僕の場合はそうでした。大幅な売却損による、決算の最終赤字が予想された。
2、関係者に自社ビル売却の同意を取り、銀行から追加融資を受ける
決算の最終赤字と不動産の価格交渉に応じられるように、銀行から新たに、約1億円の融資を受けた。
これで、不動産の売却期間が長くかかっても資金繰りに支障がないので、売り急ぐ必要はなくなった。
僕の場合は、まだ社長交代していない後継者の立場で、ビル売却の検討をすすめました。
そのために、最初で最大の関門は、創業者で現社長の父親でした。
そこで、自分が会社を継ぐにあたり、この借金が多額なことと財務がぜい弱なことが問題で、
その解決のためには、ビルの売却が不可欠ということを説得しました。
また、ビルが想定の金額で売れれば、約10年で無借金経営になることもアピールしました。
社長は、ビル売却に不承不承ながら応じた。
(僕は、内心、最後の最後までどんでん返しを食らうのではないかとビクビクしてた)
そこからは、幹部の会議で、古参社員がつぎつぎに、反対しました。
一番は、ビルの売却を知った顧客が不安に思って、営業に悪影響を及ぼして、
売上が減少するのが心配だという意見でした。
これは、議論しても仕方ないです。相手の気持ち、しかも将来の気持ちなど分かりませんから。
そこで、僕がヒアリングと称して、数名の自分が親密な関係の得意先だけ聞き、「ビル売却は気にしない」という回答を得ました。
念のため、株主である、僕の兄弟にも根回しして、
少数ではありましたが、外部の株主には、株式の買い取りを打診して、不動産売買の前に、全て買い取りを実施しました。
最後は、メインバンクにビル売却の相談を行いました。
なぜなら、ビルは融資の担保になっていたので、不動産売買の際には、担保を外す必要があり、事前に債権者である銀行の許可が必要だからです。
銀行の回答は、いま、慌てて売るほど、財務に問題があるとは、考えていないが、
お宅が自ら、売却するのであれば、協力するということだった。
不動産仲介会社を紹介したいと言われたがこれは断った。
もちろん、売却のシミュレーションについては、詳細に効かれた。
「テナントの預かり金など本当にすべて返却が可能か?」念をおしされた。
その上で、追加融資無しで、ビル売却後に資金繰りがまわるのかという点を確認された。
3、不動産仲介会社に自社ビル売却の相談、移転先を探す
大手不動産仲介会社に売却の相談をしました。
順番は3となっていますが、実際には、ここが最初です。
ある年の夏に始まり、売却と引っ越しが、翌年のゴールデンウイークでした。
僕は、某大手の不動産仲介会社と、「専任媒介契約」を結びました。
専任媒介契約は、一般媒介契約とは異なり、1社のみに依頼する媒介契約です。
他の不動産仲介会社と併せて仲介を依頼することはできませんが、自分で買い手を見つけて売買契約を締結することはできます。
その会社は、最終的に、不動産投資ファンドと商談をまとめてくれた。
価格交渉は厳しいものだったが、目標の一般的な予想を、やや下回るぐらいだった。
恐らく、ITバブルの崩壊直前だったので、
ビルの売却情報があちこちに出回り、誰でも知っている「たなざらし」物件となっていたらと思うとゾッとします。
そうなると、誰も物件に魅力を感じないために、一度売却を取りやめて、冷却期間を相当程度置く必要があります。
そうらなないためにも、
大手で、有力な客を持っている、不動産仲介会社と「専任媒介契約」を結ぶのがおすすめです。
あとは、並行して、賃貸物件を探す必要があります。
僕は、同じ不動産仲介会社に、賃貸物件も依頼しましたが、ここはこだわる必要はなかったかもしれません。
僕のケースでは、担当者は異なるし、それほど連携もなく、同じ会社のメリットは感じられませんでした。
まとめ
地方から出てきて東京でビジネス起こした社長は、成功すると、
その証として、一国一城の主になる夢を叶えたかったんだと思います。
ある意味、僕は、父親である創業社長の夢のビルを売り飛ばしました。
まあ、今でも会社は存続しているので、勘弁してもらいましょう。
事業継承の際で、親子の葛藤や「継ぐ継ぐ詐欺」はこちらの記事を。
自社ビル 売却の具体的なやり方
- ビルの売却のメリット・デメリットを検討して、自らが売る決心をする
- 関係者にビル売却の同意を取り、銀行から追加融資を受ける
- 不動産仲介会社に売却の相談、移転先を探す
とにかく、しっかり検討して、ビル売却の決意を固めたら、
速やかに行動して、周囲の反対には動じない。
ハッキリ言って、周りが反対すればするほど、成功の確率が高いと僕は思います。
「今やるのか」「まだそこまでは必要ないだろ」というタイミングがベストなのです。
ただし、銀行借り入れなど手元資金を厚くしたうえで、
いざ商談に入ったら足元をみられないように、じっくり構えることが大事。
実際に、質問などあれば、ツィッターまでご連絡ください。