会計操作―その実態と識別法、株価への影響

書評

『会計操作―その実態と識別法、株価への影響』須田一幸(著)、山本達司(著)、乙政正太(著)
出版社:ダイヤモンド社(2007/06)ISBN978-4-478-00151-6

第1部 会計操作の実態

第1章 粉飾決算と会計操作の諸相
第2章 日本の企業における会計操作
第3章 会計操作と監査

第2部 会計操作の識別と動機

第4章 会計操作の検出方法
第5章 企業の資金調達と会計操作
第6章 経営者の業績予想と会計操作

第3部 会計操作と株式市場

第7章 会計操作に対する株価反応
第8章 会計操作とビッド・アスク・スプレッド
第9章 総括とインプリケーション

◆利益調整と会計操作の関係
①当期の利益を過小に報告する守備的な利益調整
当期の業績が悪化し、減益や赤字が避けられない場合
リストラを進め、経費を抑えることで翌期の好決算に結びつける。
②当期の利益を過剰に報告する攻撃的な利益調整
株主や債権者などを誤導する意図を想定しており
攻撃的利益調整により株主や債権者に経済的損失を被る場合を考える
③両端の中間に位置する適度の利益調整
合理的な期間損益計算書のもとで実施される利益標準化。
例えば、製造業などで数年おきに設備の修繕を行うことにより
それに備えて毎期、特別修繕引当損と特別修繕引当金を計上する。

◆倒産企業の会計方針の変更
倒産企業はもともと利益増加型会計手続きを選択する傾向にあり
倒産が近づくと、さらに利益増加型会計手続きの選択率を上昇する。
加えて、倒産企業が利益増加型の会計方針の変更を行っていることが明らかになった。
会計方針の変更は継続性の原則に抵触するので、投資家の目に付き易い裁量的手段である。
経営者はできるだけ会計方針の変更は避けようとする。しかし、それでも倒産企業の経営者は
利益増加型の会計方針の変更を実施する傾向がある。

◆監査法人の質
大規模な監査法人とそれ以外の監査法人では、監査の質が異なる
大規模な監査法人の監査意見は、中小規模の監査法人よりも厳しいということである。
倒産企業はこの大規模監査法人の割合が少ない、つまり、倒産企業における
監査は、相対的に品質が低いという傾向が示唆された。

◆倒産企業の利益調整と会計操作
倒産企業は倒産に至らない時期において、目に見えない会計手続きを選択し
倒産が近づくにつれ余裕が無くなり目に付きやすい、会計手続きを選択を
行わざるを得なかった。そして、もはや会計的裁量行動を行う余裕がなくなった時
多額の特別損失の計上を余儀なくされ、それが信用不安を引き起こし
倒産に結びついたと推察される。

◆会計操作と株価
倒産が近づくにつれ、株価が下落する。それと平行して、役員や金融機関の持ち株比率
が低下し、逆に、個人投資家の持ち株比率が上昇することが明らかになった。

◆会計操作と予想誤差
会計操作企業と非会計操作企業では経営者の予想誤値に開きがある
会計操作企業の業績予想には予想誤値がほとんど見出されない
それとは対照的に非会計操作企業は非常に大きな予想誤値が見られる。

◆会計操作とビッド・アスク・スプレッド
倒産企業におけるビッド・アスク・スプレッドの拡大は、会計操作によって
財務報告の透明性が損なわれた場合、それを認識できるのは一部の投資家であり
倒産企業について情報優位にある投資家と情報劣位にある投資家の情報格差が
倒産企業の会計操作により助長されている可能性を示唆している。

★「会計操作を科学的に分析した初めての書」と本の帯にあるように
会計操作について個々のテーマを事例を元に統計的分析を行い答えを導き出しています。
答えを出すまでの過程を丁寧に説明されているので、とても判り易い本になっています。

本日は、この辺で。

編集後記

週末は、1年続いたセミナーの最終回です。

講師の先生に、記念品を渡すのに、

プリクラを撮ってこいという命令があったので、

仕事中、スーツ姿で、

しかも、男1人で、撮ってみました。

かなり、不気味な写真に仕上がりました(苦笑)。

 

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