事例に学ぶ貸出判断の勘所―資金使途の検証にみる「貸出の王道」

書評

 

『事例に学ぶ貸出判断の勘所―資金使途の検証にみる「貸出の王道」 』吉田 重雄(著)
出版社: 金融財政事情研究会 (2007/06) ISBN-10: 4322111084

目次

第Ⅰ編 貸出業務の王道
第Ⅱ編 資金使途別借入申出の検証
第Ⅲ編 貸出業務に役立つ知恵袋

◆銀行は「雨の日に傘をさしてくれない」?

『 「雨の日に傘を貸してくれない銀行」という言葉の意味をよく考えましょう。「雨の日」という言葉は、
「企業にとって資金繰りが苦しいとき」「業績が順調でないとき」という意味であり、「傘」とは
「銀行の貸出業務」「銀行の支援」と意味するとえいます。
企業経営者は企業の存続を目的に、必要な収益をあげ、株主に配当し、従業員に給料を支払い、社会に
貢献するための事業努力を続けています。しかし、企業経営にとって数十年間続けて晴れの日ばかりとは
限りません。小雨のときも大雨のときもあるでしょう。台風のような大きな困難に直面するときもある
はずです。そのような日がいつか来るかもしれないということで、企業経営者はまず第一に貸借対照表に
おける「資本の部」を増やすことで自らの体力を蓄積することに努力し、次に仕入・販売の関係にある
取引先、また借入取引の関係にある銀行との信頼関係を築くことにも努力することが一般的といえましょう。』

◆「貸し渋り」

『 銀行が「貸し渋り」をするから中小企業が倒産するという論理はどうみても滑稽です。どのようにして
そのような発想が生まれるか、筆者には理解できません。そのような発想をする人たちに逆に以下の2点に
ついて尋ねたいものです。

① 銀行が新たな貸出に応じないと倒産するという状況にまで至った経営はだれの責任でしょうか。
② そのような倒産直前の状況で資金繰りに窮している企業に銀行が貸出することに問題
ないという考えでしょうか。
これについては、前節でも述べました。預金者に返すべき資金を、回収不能のおそれがあるような貸出に
回すことはさけなければいけないと考えます。』

◆資金使途把握の重要性

『 一般的には、資金使途による貸出の採り上げ形態は次の通りです。
① 経常運転資金・・・・期間1年、継続
② 増加運転資金・・・・期間1年、継続
③ 決算賞与資金・・・・期間6カ月、約定弁済付
④ 季節仕入資金・・・・期間6カ月、約定弁済付または期限一括、あるいは商手乗換え
⑤ 工事立替資金・・・・(工事請負契約書の期限)期限一括
⑥ 設備資金・・・・・・期間3~10年、約定弁済付(1~2年据置期間あり)
資金使途の実態の検証を行わずに貸出を行うと、前期形態と異なる採り上げ方になり、その結果として
返済方法・返済期間が守られない貸出となり、不良債権に繋がっていくおそれがあるのです。』

◆運転資金という言葉の意味

『 前記二つの事例で「運転資金」という言葉が使われています。「運転資金」とは何でしょうか。実は、
運転資金という言葉は便利に使われる傾向にあります。借り手側にすれば、借入の名目資金使途として
使いやすく、銀行に資金使途を運転資金というと審査のチェックが甘くなりがちということを
経験的に知っているのかもしれません。』

◆経常運転資金の金額把握:基礎編 P-55

運転資金=(売掛金+受取手形+在庫)-(買掛金+支払手形)

◆経常運転資金の返済原始

◆経常運転資金が減少した場合

『 売上が減少した場合、貸借対照表から算出される運転資金が減少します。
理論的には、経常運転資金貸出は運転資金の範囲内でなければならないという原則に照らし合わせれば、
従来許容していた経常運転資金貸出は減額して継続する対応が筋です。』

◆増加運転資金とは何か

『 増加運転資金とは、売上の増加、在庫の増加、あるいは受取手形サイトの長期化などによって増加する
運転資金のことです。具体的には、A月とB月、あるいはA期とB期との間における運転資金の増加額のことを
いいます。』

◆増加運転資金の発生要因

『増加運転資金の発生要因は四つあります。
① 売上の増加
② 売上債権回転期間の長期化(売掛期間の延長、手形回収率のアップ、手形サイトの延長、回収不能な
不良債権の発生など)
③ 在庫回転期間の長期化(不良在庫の発生、備蓄・季節要因による仕入在庫増加など)
④ 支払債務回転期間の短縮化(買掛期間の短縮、手形支払率の減少、手形サイトの短縮など)

◆経常運転資金の長期運転資金貸出対応

◆肩代わり資金とは何か

『 肩代わり資金は、借り手である企業側からみた場合「資金使途」ではありません。これは銀行側からみた
「貸出形態」の一つです。
企業の資金需要が乏しいなか、あるいは銀行間における顧客獲得競争という場面で、銀行が貸出残高を
伸ばす方法として、他行からの借入れを肩代わりするという手段があります。肩代わり資金というのは、
新たな資金使途による貸出ではありません。肩代わり資金貸出は、貸出残高の増大と新規顧客獲得の
手っ取り早い方法として使われます。』

★銀行マン、いまや、これもパーソンでしょうか?
向けの、玄人筋の本です。

ただ、サクサク眼を通しおいて、
経営者、経理部門の方にも、損はないと思います。

ただし、
知識武装したからと言って、議論できるかどうかは、別問題ですが。

本日は、この辺で。

 

 

 

 

 

 

 

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