速水敏彦(著)『他人を見下す若者たち 講談社現代新書』
講談社 ; ISBN: 4061498274 ; (2006/02)
目次
第1章 感情が変わった
第2章 やる気が低下する若者たち
第3章 他者を軽視する人々
第4章 自己肯定感を求めて
第5章 人々の心に潜む仮想的有能感
第6章 自分に満足できない人・できる人
第7章 日本人の心はどうなるか
◆仮想的有能感
・・・他者軽視をする行動や認知に伴って、瞬時に本人が感じる
「自分は他人に比べてエライ、有能だ」という習慣的な
感覚である。
『仮想的有能感は、他者をどうみるかという一つの他者評価を基盤にしたものである。
他者の能力を低く見るほど自分の能力の自己評価を吊り上げることになる。・・』
◆感じない子供たち
『・・このように子供たちが不快感をあまり体験しなくなったのは、結局、大人自身が
不快感やネガティブな気持ちへの耐性がなくなってきていることを反映していると
言えよう。また、最近は、ネクラが否定され、ポジティブ思考が声高に叫ばれてきた。
常に前向きであることがよしとされ、弱虫であること、身を引くこと、悩んで立ち止まる
ことは、悪いことと見なされてきたふしがある。・・・』
◆親の問題行動
◎家族旅行で学校を欠席
◆大衆は劣等
『・・多くの人が貧しかった時代、つまり子供たち自身が常にひもじい思いをし、汚らしい
服装で、衣服も十分出なかった頃は、自分よりさらにひどい状況の人を見て、同情心の
方が強く湧いたに違いない。・・・』
『・・彼らはそのような蓄積する不満を解消するために、無意識のうちに「自分より下」の
存在を探し求めているのかもしれない。「自分より下」の存在を徹底的にうち砕くことによって、
前章で述べたような萎縮した自尊感情を回復させることができるのである。』
★若者だけではありませんが、恐ろしい事件が増えています。
この本では、若者を中心として、現代人の心の在り方を分析しています。
見知らぬ他者を簡単に否定する傾向が、私の中にも、確かにあると思います。
そうすることで、自分の無価値感と、向き合わなくて、すむわけです。
子を持つ親としても、一度、考えてみたいテーマです。
本日は、この辺で。