本日の1冊は昨日の続きです。
◆OBMの真髄
①OBMは難しいことではない
②OBMを導入して変るのは従業員の意識と行動のパターンであり、会社の基本構造の変革はOBMとは別のことである。
③OBMは能書きだけでなく、実際の効果を生む

◆なぜOBMは変化を生んでいくのか
①従業員の中にある不信感や怒りを取り除くことができる
◎会社業績の現状や各部門の実績を知らなければ、従業員は憶測で行動することになる。
そうなると従業員は最悪の事態を想定し、経営に不信感を持つことになりかねない。
問題をまったく教えられずに、最悪の事態が起きて初めてその事実に驚くこともある。
それは従業員にとっては辛いものであり、さらに経営に対する不信感や怒りを生むことになる。
②従業員が部分的な問題よりも会社全体の共通目標を重視できるようになる
③全員の意識を経営目標に集中させ、従業員の一体感を熟成する
④企業を収益体質化し、学習する組織へと変えていく
⑤マネジャーのマネジメント業務を支援する

◆OBMが与える影響
①マネジャーが経営指標数値を把握するようになる
②マネジャーが各経営指標の意味を理解するようになる
③経営システムにダイナミズムを持ち込む

◆仕事は本来楽しむもの
◎実際、我々は睡眠を除けば一日の大半の時間を仕事に費やしている。だからこそ、それは楽しくなければならないはずだ。
そして、それは、可能なのだ。そもそもビジネスはおもしろいのである。起業家やベンチャー企業への投資家、
大会社の経営者たちは、それを知っている。しかし、なぜか彼らはそれを口外しない。

◆OBMの実践にあたって
①あなたの会社にとって解決すべき問題は何か
②あなたの会社でほかに変革しなければならないことはないか
③粘り強さを持って最後までやり抜く心構えはあるだろうか

◆OBMを機能させる四つの要素
◎情報を全員に公開する
◎人々にビジネス・リテラシーを教える。すなわち、情報を理解し利用するやり方を教える
◎レスポンシビリティとアカウンタビリティの体制を作る。すなわち、従業員にビジネスマンとして行動
するような権限を与える
◎従業員全員が会社の成功に関与していることを実感させる

◆ドラッカーも賛同する情報の共有化
◎SRCのミーティングでは、監査役が財務情報が入ったノートブックを操作して、OHPによりスクリーンに
情報を映し出す。各部署が、順次、終わったばかりの二週間に関する売上高あるいは収入、売上原価、粗利益率、
販売費などを、損益計算書の項目に沿って読み上げていく。スクリーンでは、業績の数値と計画が比較できるように
なっている。

◆どんな情報を公開したらよいのか
◎どの会社にも、重要な営業数値というものがある
◎自分のビジネスを知っていれば、何が公表すべき数字で、それが何を語り何を語らないかもわかるはずである。
そのような数字をみなに提供するのだ。
◎営業上の数字と一緒に、会社にとって重要な財務指標を公表することが大切なのである。
損益計算書はもちろんのこと、キャッシュフロー計算書やそれを支える営業部門のキャッシュフロー、
さらに場合によっては貸借対照表など。

◆どうやって情報を共有するのか
◎いくつかの会社は、「スコアボード」を利用している。オフィスや店舗の壁に、業績に関する重要な数字を表示
した大きな掲示板をかけるのだ。
◎もう一つの情報を提供する手段が「ミーティング」である
◎ミーティングが難しい場合にはファックスやコンピュータでデータを取り出す方法が取られている。

◆大いなる不安と闘う
◎大いなる不安とは、もちろん、情報を共有するようになると、それが自分に対して不利に利用されることに
なるのではないかという不安である。
◎競争相手は同じ業界にいる。彼らは、おそらくあなたの会社の技術やコストを調べあげているし、
価格政策についても常に監視し、業績動向も把握しているだろう。つまり、重要な数字については、
競合している相手の会社もほとんど知っているということだ。

◆財務数値の理解は経営の前提である
◎例えば、売上と利益を混同したり、会社の口座に振り込まれるすべての金額を利益と考えいている従業員が
いたとしても、おかしくはない。
◎こういう類の財務音痴は、学歴とは関係ない。

◆ビジネス・リテラシーの効用
①猜疑心が解消される
②無駄が削減される
③意思決定が的確になる

◆ビジネス・リテラシーを高めるには
◎フォールド・クラフトのトレーニングコース
①自宅や自家用車、ボートなどを対象とした個人の貸借対照表の作成
②架空の菓子メーカーの設立
③販売活動の検討
④実際の会社との比較検討
⑤より複雑な検討作業
⑥すべての作業を持ち帰る

◆外部プログラムを利用する

◆財務の知識は長期にわたる資産となる

◆エンパワーメント(権限委譲)-財務を理解させることで本当のエンパワーメントが実現する

◆エンパワーメントの問題点
◎エンパワーメントとは一般に「権限を委譲し、個人のパワーを最大限に発揮してもらう」ということだが、
注意しないと、行き先を告げずにトラックを運転させるようなことになりかねないことだ。
◎言い換えれば、彼らはトラックを運転する権利を与えられ、エンジンをスタートさせ、ギアを切り替え、
アクセルを踏みながら運転するが、どこに行くべきかは教えられていないようなものである。
また、目的地に行く全体のコースも、あるルートが別のルートとどのように違っているのかは教えられない。
◎これらの情報は、チームに属さないだれかが考え、それがチームに伝えられる。このやり方だと、チームや
チーム制を採用している企業は道に迷うことが多くなるのであr。
◎たとえば、マネジャーがチームのメンバーに相談せずに勝手にものごとを決めたり、メンバーが面倒になって
定期的なミーティングを省略したりするようになりがちだ。そうなると、従業員たちは、
「エンパワーメント?いいアイデアかもしれないが、結局のところ、自分たちの意見なんて聞いてくれないさ」
と思うようになり、チーム制への期待に幻滅してしまうことになる。
◎効果的なトラックの運転をするためには、地図や進むべき方向に関する指示、および目的地までの進行状況を
計る尺度が必要になるのは、当然のことである。つまり、エンパワーされた従業員にはOBMが必要なのである。

◆エンパワーメントが効果を発揮する条件
①企業経営の透明性が実現していること
②エンパワーされた従業員が自らの判断と目標数値に責任を持ち、実現に尽力すること

◆エンパワーメントをどう実現するか
◎ハドルシステム型のアプローチ
①スタックが「ゲームプラン」と呼んだ年次計画の作成
②数値による達成度の評価
③現場ミーティング
◎企業全体をミニチュア化した複数の組織に分割するアプローチ
◎部門をビジネスセンターとして位置づけるアプローチ

◆過度に民主主義にこだわる必要はない
◎有能な経営者は、必ず自らが意思決定してきた。同時に、マネジャーが、それぞれの立場で適切な意思決定を
するための情報を提供し、的確な判断ができるようになるまで指導してきた。また、意思決定する場合には、
より詳しい人々を中心に、幅広い意見を聞くように指導してきた。
◎このような方法はOBMと変らない。ただOBMの場合は、経営者とマネジャーだけでなく、企業内すべての従業員が
対象になっただけである。すべての従業員が経営者的な感覚を身につけて、エンパワーされるのである。

◆第四原則‐企業の業績と従業員の利害は一致していなければならない

◆利益配分やボーナスの欠陥
◎「見返りがないものに、だれが関心を持つだろうか」
-OBMの導入は、従業員に対して、新しい知識を学び、新たな責任を負い、より広い視野で仕事に取り組むことを要求する。
つまり、従業員にとってOBMは、何らかの見返りがなければ負担が増すだけなのである。
◎裁量報酬の問題点
①独断性
②理解できないプラン
③固定された支給額
④実感のない報酬

◆OBMにおける目標の設定
◎目標設定のプロセスについて重要な留意点
①社員が重要性を理解できる目標を設定すること
②できるだけ多くの人々を目標設定に関与させること
③目標の達成度をだれもが理解できる基準で評価しその方法を明示すること
④多くの人が結果に影響を与えられるものを目標にすること
⑤経営の健全性を損なわないこと
⑥野心的でしかも実現可能な目標を立てること

◆成果配分を具体的にどう行なうか
①ボーナスや利益配分として従業員に支給すべき金額
②ボーナス資金の配分方法
③ボーナスの支給時期
◎SRCの「10-20-30-40システム」とミッドステーツの「バスケットプラン」

◆株式保有とOBM

◆OBMはすぐに始めて進化させるもの

◆OBM導入から展開への方法
1、主要な財務数値に関するクイズ
2、経営幹部へのOBMの適用
3、年次昇給の廃止宣言
4、情報の提供開始
5、ビジネスゲーム(その1)
6、ビジネスゲーム(その2)
7、従業員持株制度の導入
8、従業員への問いかけ
9、楽しみながら学べるゲーム
10、従業員による意思決定

◆OBMに関するQ&A

◆企業は従業員を子供扱いしている

◆大人扱いすれば大人のようにふるまう
◎「人をいまあるままに扱うならその人は変らない。人の可能性を信じて、そう扱えば、その人はそうなっていく」
◎「権力は腐敗する、絶対権力は絶対に腐敗する、と言われてきました。しかし、職場で問題にすべきは無力感です。
ひとたび無力感が生まれれば、無力感はますます増幅していきます。自分に権限がある、あるいは責任が
あると感じられないと、人は権限を持って、あるいは責任を持って行動しません」

◆「ビジネスプロフェッショナル」たれ
◎被雇用者は子供と同じで、言われた通りに仕事をやる。しかし、「ビジネスプロフェッショナル」は大人と同じで、
何をやる必要があるかを自分で考えて行動する。
◎また、被雇用者は子供と同じで、自分たちの行動に責任を負わないが、ビジネスプロフェッショナルは責任を負う。
ビジネスプロフェッショナルは顧客に対しても、社内の関係者に対しても、自分の仕事に関してきちんと
説明する責任があることを自覚している。
◎被雇用者は子供と同じで、目先のことには関心があるが、全体像を見たり先行きを考えたりはしない。
ビジネスプロフェッショナルは、それらを見たり理解したりすべきだと認識している。

◆OBMは新しい企業の時代に向けての第一歩
①情報共有‐情報を公開する
②ビジネス・リテラシー研修‐情報の意味を理解できるようにする
③エンパワーメント‐従業員への権限委譲を進める
④成功報酬‐だれにでも見える形での成果配分制度を導入する

◆全員が対等に参加することに意味がある

◆OBMが企業を元気にする

いろいろと未知の部分が多い、オープンブック・マネジメントですが、今年は継続してこれをテーマに学習したいと思います。
できれば、自分なりにまとめて、記事にしようと思います。
先日TB頂いた主観的書評ブログで記事になっていたアメーバ経営も、この考え方に近いように思いました。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog