木村元彦(著)「オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える」集英社です。4797671084

目次
第1章 奇妙な挨拶
第2章 イタリアW杯での輝き
第3章 分断された祖国
第4章 サラエボ包囲戦
第5章 脱出、そして再会
第6章 イビツァを巡る旅
第7章 語録助産夫
第8章 リスクを冒して攻める
第9章 「毎日、選手から学んでいる」

『プレーを止めるな、リスタートは速くしろ、と監督は言い続けた。
「味方が動き出していないので、出せない」と反論しても、
「それでもいから出せ」と怒鳴った。・・・』

─○○がミスをしましたが。
質問の意味を汲み取ると、オシムは即座に返した。
「あなたは今までミスをしたことがありませんか?」


「人間は誰しもミスをしますよ。選手もミスをします。私だってミスを犯します」

「監督に、最後の佐藤のシュートが残念でしたね、と聞いたんだよ。そうしたら、
『シュートは外れる時もある。それよりもあの時間帯に、ボランチがあそこまで
走っていたことをなぜ褒めてあげないのか』と言われたよ」

「日本人は平均的な地位、中間に甘んじるきらいがある。野心に欠ける。これは危険な
メンタリティーだ。受身過ぎる。(精神的に)周囲に左右されることが多い。
フットボールの世界ではもっと批判に強くならなければ」

「アイデアのない人間もサッカーはできるが、サッカー選手にはなれない。」

「例えば国家のシステム、ルール、制度にしても同じだ。これしちゃダメだ。あれしちゃダメだと
人をがんじがらめに縛るだけだろう。システムはもっとできる選手から自由を奪う。
システムが選手を作るんじゃなくて、選手がシステムを作っていくべきだと考えている。
チームでこのシステムをしたいと考えて当てはめる。・・・
・・チームが一番効率よく力が発揮できるシステムを選手が探していくべきだ」

◆オシムはモチベーションの上げ方についてこう言う

「モチベーションを高める方法なんて何千通りもある。・・・
私が実際に行なっていることを話そうか。試合の前とかにほとんど戦術の話はしない。
モチベーションを上げるのに大事だと思っているのは、選手が自分たちで物事を考え
ようとするのを助けてやることだ。自分たちが何をやるか、どう戦うかを考えやすく
してやる。お前ら、今日は絶対に勝たないとだめだぞとか、相手の足を削ってでも
ゴールを守れ、そんなことは絶対言わない。別に勝たなければならない試合なんて
ないんだ、お金云々じゃない。でも、とにかくお客さんは少なくとも来てくれる。
まずは自分たちのために、自分のやれることをやり切るということが大事だという話を
する。次に、対戦相手が自分たちと試合をするに当たって何を考えて臨んできているか
ということを思考させる、そういう話をする」
・・・緊張を与えた上で「やることをやって、自分たちのサッカーができたのなら、
負けてもいいではないか」とそのプレッシャーから解放する。

「やることをやってもし負けるのなら、胸を張って帰れるはずだ」

★この本は、純粋に面白いです。
思わずフォトリーを忘れ、ただひたすら読み込んでしまいました(笑)。
3日ぐらいかかっています。

著者が、アジア、東欧の民族問題を中心に活動する、
ノンフィクションライターということもあり、
かなり政治的・歴史的な事柄についても、ページが割かれていますので、
単にサッカー監督の本を思って読むと、
その点では、予想を裏切られます。

ですが、読むほどに、オシム監督と彼の人生において、
その言葉の背景が切っても切り離せないものであることも、理解できます。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog