『最後の授業 ぼくの命があるうちに DVD付き版 (ハードカバー) 』ランディ パウシュ(著)
出版社: ランダムハウス講談社 (2008/6/19) ISBN-10: 4270003502
目次
はじめに
第1章 最後の講義
第2章 僕はこうして夢をかなえてきた
第3章 僕を導いてくれた人たち
第4章 夢をかなえようとしているきみたちへ
第5章 人生をどう生きるか
第6章 最後に
謝辞
カーネギーメロン大学について
訳者あとがき
著者・訳者紹介
『 僕はエンジニアリング上の問題をかかえている。
基本的にはすこぶる健康だが、肝臓に腫瘍が10個あり、あと数カ月しか生きられない。
僕は三人の幼い子供の父親で、妻は理想の女性だ。自分をかわいそうだと思うのは簡単だが、
それでは妻と子供にとっても、僕にとっても、何もいいことはない。』
◆グレアム監督が教えてくれた「頭のフェイント」
『 子供にチームスポーツをやらせるときは(フットボールでも、サッカーでも)ほとんどの
場合、そのスポーツの複雑さを学んでほしいからではない。
本当に学んでほしいのは、それよりはるかに大切なことだ。チームワーク、忍耐力、
スポーツマンシップ、一生懸命にやることの価値、逆境に立ち向かう能力。このように
何かを間接的に学ぶことを、僕は「頭のフェイント」と呼んでいる。
「頭のフェイント」には二つの意味がある。ひとつは文字どおり、頭を動かしてフェイント
をかけること。フットボールでは頭をある方向に動かし、そちらに移動すると敵に思わせて
おいて、逆方向に動く。グレアム監督はいつも、相手の腰を見ろと言っていた。「へそが
向いているほうに体は動く」
大切なのは、もうひとつの「頭のフェイント」だ。学んでいるときは理解できないが、あと
になってわかることを教えること。それが「頭のフェイント」だ。「頭のフェイント」の達人
は、本当に教えたいことを、相手が気がつかないうちに教えている。』
◆新年の誓い
『 僕の病気の経過がわかったとき、ジェイは、些細なことは気にしないように努めているのだ
と言った。それは僕たちが相談していたカウンセラーからの助言だった。心理療法士の
ミッシェル・レイスは、夫婦のどちらかが不治の病に侵されたとき、家庭生活を見つめ直す
手助けをしている。僕たちの生活にも「新しい普通」が必要だった。
たとえば、僕は散らかし屋だ。きれいな服も汚れた服も寝室に広げっぱなしで、洗面所の
シンクのまわりもガラクタだらけだ。それを見てジェイは憤慨する。僕が病気になる前は
何かしら文句を言われていた。でも、レイスはジェイに、あまり大切ではないことでいがみ
合うのはやめたほうがいいと助言した。』
◆たくさんのインプット
『 ジェイと僕のカウンセリングをしている心理療法士のミッシェル・レイスは、くり返される
検査のストレスで僕が自分を見失わないように、手助けしてくれる。おかげで、広い心と
前向きな気持ちで家族との時間を大切にすることができ、ほぼすべての関心を家族に
注いでいる。僕は人生の大半を通じて、カウンセリングの効果を疑ってきた。追い詰められた
いまは、カウンセリングがいかに大きな助けになるかを実感している。腫瘍科の病室を
訪ねて、自分だけで闘い抜こうとしている患者たちに、このことを教えてまわりたい。』
★この本には、DVDがついてます。
複数のブログのアドバイスから、本を読む前にDVDを先に見ました。
涙なくして、とは言いませんが、
いろいろな、思いが凝縮されて、伝わってきます。
なかでも、
私は、「頭のフェイント」というところがとても大好きで、印象に残りました。
私も、優れた指導者、リーダーに接したことが何度もあります。
例えば、社会人1年目であったあるY所長です。
かれは、広島出身の厳しいリーダーという噂でした。
実際に、入ってすぐに、私の帰る時間が早いとか、早く帰るときは事前に相談が必要だとか厳しく注意
受けました。
(実際のところ、その早い退社時間とは、20時半で、今では言う方が問題ですが)
そして、何よりも、大変だったのが、投げ込みという作業です。
当時の住宅・不動産業界では、当たり前でったのですが、
キャンペーンチラシなどを、営業エリアの住宅に投函する作業です。
こんなのアルバイトの作業じゃないかと毒づきながら、古そうな一軒家に日中ひたすらポスティングしました。
いっしょに、行動していた同僚は、マンション、集合住宅のポストにこっそり投函していました。
そこには、建替えニーズはありあせんが、一軒一軒歩くよりはるかに短時間で終わります。
私は、会社に入ったことをなかば後悔しながらも、愚直に続けました。
2週間ぐらい続き、いつまで、これが続くのだろうかと思っていたある日、
Y所長が、
「よし、今日で終わりな。」
と告げました。
その時は、いったいこの行為になんの意味があるのか、分かりませんでしたが、
数か月後、私は、展示会場での私の振る舞いが、他の同僚と明らかに違うことに気づいたのです。
休みの日に、わざわざ、時間をとって来場してくれるお客様のなんとありがたいことか?
商品が売れる売れないにかかわらず、丁寧に接しました。
そして、あるお客様から、こんなことを言われました。
「君、接客が丁寧だねぇ。
他の会社もいったんだけど、Tシャツにキャップというラフな格好だと、
ちゃんと対応してくれなかったんだよね。
でも、あなたは、しっかり応対してくれたんだよね」
そして、このお客様からは、大きな注文をいただくことができました。
今ならば、よくわかります。
Y所長がどういう意図をもって、私にポスティングの仕事をやらせたのか?
それは、右も左も分からない、生意気な新入社員の私に、
来場するお客様1人1人の大切さを、教えるためだったのです。
本日は、この辺で。