今日の1冊です。
ジョン・ケース著、佐藤修訳「オープンブック・マネジメント」ダイヤモンド社、¥2400-です。
目次
第一部 【理論編】OBMで何が起こるか
第1章 市場は常に変化している
第2章 経営管理思想も進化する
第3章 OBMでなぜ会社は変っていくのだろうか
第二部 【実践編】OBMを実行する
第4章 第一原則 情報
第5章 第二原則 ビジネス・リテラシー
第6章 第三原則 エンパワーメント
第7章 第四原則 成功の報酬
第8章 OBMを始める10の方法
第9章 ケーススタディ 大手通信企業
第10章 OBMに関するQ&A
終章 ビジネスプロフェッショナル・カンパニー
★とても有意義な内容なので、2日間、2回に分けてお送りしたいと思います。本日は、第一部です。
◆オープンブック・マネジメント(Open-Bbook Management‐以下OBM)の考え方
◎利益をあげるために市場のなかで競争しているのだということを、従業員みながしっかりと理解している会社をつくること。
◎OBMが採用されている企業では、従業員全体が会社の業績に関心を持ち、業績をよくするために役立とうと考えている。
彼らは、与えられた仕事をこなすだけの「従業員」の立場を捨てて、会社全体のことに気を配る、
経営的視野を持った「ビジネスプロフェッショナル」として発想し行動するようになるのだ。
◆「責任をとる」という発想でやりがいが出る
◎経営者は権威にこだわり、従業員は自分の仕事のことしか考えない、というのが、これまでの我々のやり方だった。
しかし、企業経営についてまったく違った考え方が、最近、広がりだしている。その背景には市場の変化、経済の変化がある。
最近の新しい経済は、スピーディで、ダイナミックで、競争も飛躍的に高まっており、企業に対してこれまでと違った
アプローチを要求するようになってきている。
◆OBM、オープンブック・マネジメントとは、
◎オープンブック・マネジメントは、オープンブック(Open-Book)とマネジメント(Management)の2つの要素から
成り立っている。オープンブックの「ブック」は財務諸表などの帳簿のことである。
◎経営者はまず、従業員に予算と収入状況、現金の流れ、そしてバランスシート(貸借対照表)を公開し、
その意味するところを理解させなければならない。それが、従業員を雇われ者の「従業員」から会社全体の
ことを考える「ビジネスプロフェッショナル」に変えていくための第一歩である。
◆OBMが誤解されないために
①OBMは万能薬ではない
②OBMはTQMやリエンジニアリングなどの構造変革戦略ではない
③OBMには決まった方法があるわけではない
◆新しい経営は新しい企業から生まれてくる
◆市場は常に変化している
◎同じやり方を続けていたら企業は生き残れない
◆前提として新しい経済を理解する
◎競争が飛躍的に激化する
-「グローバリゼーション」「情報革命」「企業家精神の広がり」
◆サービス経済へのシフト
◎雇用構造の変化
-米国では、1990年には農業従事者は全体の3%を切り、残りの労働者の4分の3がサービス産業に属するようになった。
-米国で1980年から1992年に生みだされた1800万のも新しい仕事のほとんどが、サービス産業である。
◆コストダウン
◎企業は、激しい競争のなかで、これまでよりも少ない人間でやっていかなければならなくなっている。そのため、
企業で働く人たちはより多くのさまざまな仕事をこなせるようにならなければついていけなくなっているのである。
◆戦略も実行も一人ひとりの従業員が参加する
◎仕事や働き方の変化は、従業員への動機づけを難しいものにしている。従業員に効率的に働いてもらわなければ
ならない状況になっているにもかかわらず、いままでのようなやり方では従業員は動機づけられなくなっているのである。
◎ほとんどの「仕事」が肉体労働だった時代には、労働者が手を抜いたり失敗しないように、ボスが見て回ればよかった。
砂袋がシャベルですくわれてなかったり、ボルトがしっかりと締められていなかったりする箇所を見て回ることは
簡単だった。しかし現在のように、ほとんどの仕事が顧客に対するサービスそのものになってしまうと、
管理監督の有効性はきわめて少なくなる。
◆伝統的な経営管理思想の2つの考え方‐「労働者は交換可能」
◎従業員に与える仕事はできる限り内容を限定しなければならない
◎従業員は常に直接監視していなければ働かない
◆科学的管理手法の発達
◎マネージャーの誕生
◆伝統的経営思想の限界
◎伝統的な管理が行なわれている企業の従業員は、生産性向上や問題の解決は経営者の課題であって自分たちには関係ないと
考えがちだった。
◎官僚化、ゆきすぎた分業化、硬直化した労働組合などのために、新しい経済にうまく対応できずに衰退していった企業では
むしろ労使間の流血騒ぎはなかった。そうした企業では、職場はどんどん専門化され、硬直化し、
次第に屋上屋を重ねるような複雑な組織になっていった。
◆OBMの誕生
◎第一の原則
-従業員とマネージャーとの間に壁を置いて役割や立場を分けるのではなく、全員が新しいことに立ち向かう同志として、
「それぞれがお互いを仕事のパートナーと考えている」ということだ。
会社がよい時は、従業員一人ひとりもよくならなければならない。逆に会社が困難な状況にあれば、
すべての従業員がそれを知っているべきだ。具体的に言えば、従業員にわかる形で利益の一定割合が給与か株券で
成果配分されているということである。
◎第二の原則
-「従業員にエンパワー(権限委譲)されている」ということである。それも、品質を保証するためとか、
チームが必要としているからといった特別の理由ではなく、日常的な仕組みとして権限が委譲されているのである。
先駆的な企業でも、ほかの企業と同じように、指示を出す最終責任はマネージャーが負っている。
しかし、部下である従業員も自分の考えを発言し、自分の仕事に関わる事項については意思決定にも加わることで
職場を円滑に運営することに一役買っている。各自が自分の仕事だけに閉じこもり、
「言われた通り仕事しろ、そして命じられたこと以外は手を出すな」という、これまでの考え方は一切見られない。
◆ゲームを通じてビジネスを教える
◆SRCと通じてOBMが注目された
◆SRCからOBMを学んで展開
◎多くの企業がツアーを組んでSRCを訪問し、スタックが設立したエグゼクティブ・トレーニングのコースに参加している。
◆OBM企業の特徴
①OBM企業の従業員はだれでも、会社の財務諸表をはじめとした会社業績に関わるすべての数値をいつでも見ることができ、
しかもそれらの意味を理解する知識を習得している
②OBM企業の従業員はだれでも、どのような業務についていようと、自分の仕事が経営業績の改善につながってりると
考えている。
③OBM企業の従業員は誰でも、会社の業績を自分の問題として受け止めている
◆PSIのグレートゲーム・オブ・ビジネス活動
◎オープンブック(経営数値の従業員への開示)
◎経営数値を理解するための従業員教育
◎成功のカギとなる数値目標と連動したボーナスの支給
★もしかすると2回でも紹介しきれいボリュームとなりそうな予感もしますが、
後半はなるべくサマリー(要約)し、ポイントだけお伝えしたいと思います。
前からお伝えしているように、私の部署でもこのOBMに取り組んでいます。
いまのところ、財務リテラシーをテーマとして、月に2回の会議で20分ほど説明しています。
徐々にPLの見方は浸透しつつあり、次回はビデオ教材を使った説明を行なう予定です。
私自身は、以前d-mateさんからもアドバイス頂いた、マネジメント・ゲームの講習に是非参加したいと考えています。
本日は、この辺で。