三枝匡著「戦略プロフェッショナル」ダイヤモンド社

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★私の本は26刷です。この単行本以外に、上記文庫本もあります。凄いです!

目次
プロローグ 日本企業の泣きどころ
1 飛び立つ決意
2 パラシュート降下
3 決断と行動の時
4 飛躍への妙案
5 本陣を直撃せよ
6 戦いに勝つ

◆競争のルールに穴をあける

◎事業戦略を成功させるには、現在業界で当たり前になっている競争のルールに穴をあけなければならない。
つまり事業に成功する人は、自分で新しい競争のルールを創り出していく人である。
◎今市場で行われている競争のルール(業界の「常識」)にのっとってやっているだけなら、二位の企業は
永遠に二位、三位の企業は永遠に三位のままである。

◆局地戦争に持ち込む

◎事業の絞り、経営戦略論でセグメンテーションと呼んでいるやつです。
◎ビジネスではどんな小さいセグメントでもいいから、その分野でナンバーワンになるのが勝利のコツ。

◆リスクの高い投資をする時に、その事業の粗利益率を非常に気にする

◎粗利益率の低い事業は、働いても働いても、利益が出にくい。しかも、赤字になるときは簡単にそうなってしまう。
粗利益が低い原因は一つしかない。コストに比べて、十分い高い価格がつけられないからだ。
なぜ価格をを高くつけられないかと言えば、単純な話しで、お客の認めてくれる価値がそれだけしかないからだ。
そんな事業は、コストを画期的に下げられる見通しがない限り、構造的に魅力のない事業である可能性が強い。

◆プロダクト・ライフサイクルの典型的競争パターン(P-87)

◆事業成長のルート(P-89)

◆ルート3(ドンジリ、負け組)症候群

ルート1(勝ち組)         ルート3(負け組)
社員の話し方      活発・大声・笑い          静か・おとなしい
事務所の雰囲気     ザワザワ              湿気を帯びた静けさ
朝令暮改        多くてその度に文句が出る      少ないがやっても文句はでない
普通の社員の居心地   激しくて時に疲れる         ぬるま湯的でらく

月次計算のスピード   翌月早々              翌月下旬
予算管理        明確                甘い
パソコンの社内普及   早い                遅い

◆不安定化で組織を刺激する

◎成長企業は組織がいつもアンバランスである。開発面とか、生産技術とか、会社の中のどこかに優れた「突出」
部分をもっており、それに牽引される形で、その他の部分が送れて、あくせくしながらついていく。
◎時とともにこの索引役を果たす部門が交替していき、会社全体としてはいつもどこかがスターになったり、
問題部門になったりする。トップの役割は、こうした活性状態を続けるために、社内のアンバランスを
いかにほどよく作り出すかにある。

◆業績の悪い会社を、本当によくしようと思ったら?

◎お説教したり、我慢強く社内の「調整」と「コミュニケーション」にいくら時間をかけても何も起きない。
この低いレベルで社内が落ち着いている、へんなバランス状態を戦略的につき崩すしかない。
現象的には良くも悪くも社内をガタつかせるような積極的な手を、次々と打ち出してゆかなければならない。
つまりトップの役割は、この場合も組織のアンバランス化である。

◆価格決定のロジック

◆社内全員を巻き込んだフィーバーを起こす

◆経営のカンは後天的なもの

◆実践的「戦略プロフェッショナル」の条件

1)トップとして、強いリーダーシップを発揮する覚悟があること。その目標がなぜ達成されなければならないかを
部下に説得し、士気を鼓舞し、創意工夫を促し、「共に考え、共に戦う気概」を見せなければならない。
2)新しい戦略を考え出す作業手順をマスターしていること。作業のステップごとに、どんな選択肢があるのか
きちんとチェックし、責任者として自分でそれを詰めていく「緻密さ」を持っていること。
3)誰もやったことのない新しい戦略を実行に移そうというのだから、多少のリスクは気にせず、
また何があっても「夜はグーグーとよく眠れる」性格であること。

◆市場をセグメントする

◎競合企業の気づかぬうちに、新しいセグメンテーションを創り出す企業が、勝ちを収める。
─セグメントする基準(セグメンテーション要素)は、戦略目的に「完璧に」合致していないといけない。

◆自分をストレッチする

★三枝さんの3部作?を読破しました。とても面白いストーリーです。是非、夏休みにでも3部作にチャレンジしてみて下さい。
お勧めの経営コンサルタントとして、
神田昌典さん、竹田陽一さん、三枝匡さん、の3人が私にとっては、ぴったりときました。

竹田陽一さんが著書は一番少ないですが、テープ教材はとっても豊富です。

本日は、この辺で。

三枝匡著「V字回復の経営」日本経済新聞社

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目次
第1章 見せかけの再建
第2章 組織の中で何が起きているか
第3章 改革の糸口となるコンセプトを探す
第4章 組織全体を貫くストーリーをどう組み立てるか
第5章 熱き心で皆を巻き込む
第6章 愚直かつ執拗に実行する

◆日本企業は経営者的人材が少ないので改革が遅れ、国の経済全体が長期低迷している

◎経営リテラシー(戦略、マーケティング、組織変など経営コンセプトに関する読み書き能力)が米国の
ビジネスマンより低い。

◆トップが社内の人望を集め、周囲の役員やスタッフが批判される構図は、それ自体が病気の現象である。
トップが自らハンズオン(現場主義)の経営スタイルをとらない限り、組織の危機感を保つことはできない。
しかしそうなれば、トップが温かな人気者であり続けることはない。

◆スターやエリート層のいない組織で変革は絶対に起きない。エリートとは「選ばれた者」というよりも、
「集団への責任を自覚した者たち」と解するべきなのだ。

◆商品別の全体戦略や、新商品導入計画が「開発→生産→営業→顧客」の一気通貫の連携で行われていない

◆商品別損益がボトムラインで語られていない。担当者レベルの「赤字に鈍感」の集合体が組織全体の危機感不足を
構成している

◆関係会社を含めた商品別の連結損益が見えていない。戦略判断を間違えたり、経営行動が遅れる原因になる

◆組織末端では旧来の売上高志向管理から抜け切れていない。管理システムが途中で切れているからである。

◆改革チームの人選は改革の成功失敗に重大な営業を及ぼす。特に「社内政治」を改革チームに持ち込みたがる者を
選んではならない。

◆改革のコンセプト1-商売の基本サイクル

◎一つひとつの商品でこのサイクルを速く回さなければ負け戦。いつの間にか、大組織ではこれが回りにくくなっている。
◎商店主のように全社員が「商売」を意識できるか

研究(創るー開発)→(作るー生産)→(売るー販売)→顧客←競争企業

◆「創って、作って、売る」は企業競争力の原始的構図であり、それをスピードよく回すことが顧客満足の本質である。

◆改革のコンセプト1-勝ち戦の循環

★三枝さんの本は、小説じたてというせいもあるのか、とても惹きつけられます。一気に読んでしまって、別の本も読みたいな、という気にさせます。
前作と違い、この本では上場企業の不振事業部の改革なので、規模がかなり大きい話になっています。三枝さんは、コンサルタントとしては、ターンアラウンドスペシャリストです。いわゆる、不振企業の再建屋さんですね。今でこそそんな言葉も普及してきましたが、かなり古くからやられているので、実績では日本一なんだと思います。
中小企業には前作がお勧めです。こちらは、組織改革など話しがちょっと大きいのです。
もう少し、詳細に入りたいのですが、これからちょっと会議に入ります。

本日は、この辺で。

三枝匡「経営パワーの危機―会社再建の企業変革ドラマ」日本経済新聞社

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★今回の本は、「芋づる読書」から広がりました。
以前、ミスミの田口社長の本がおもしろいなぁと思い、本の公約をどうなっているかと、ミスミのホームページを
覗いたら、社長が三枝さんに交代されていることと、三枝さん自身がコンサルタントだったので、
著書が数冊あると書いてありました。素晴らしい創業社長の田口さんが、どんな価値観の方を後継者に選ばれたのか?
と興味を持って、この本ともう1冊を買い求めました。

今後は、良本の参考図書や、一人の著者の全ての本をカバーするなど、多読乱読(笑)でないとできないことにも、
チャレンジしたいと思います。

 

目次
第一章 袋小路
第二章 白旗あがる
第三章 混沌の世界
第四章 零への回帰
第五章 成功への絞り
第六章 試練の谷
第七章 飛翔の時
第八章 最後の関門

◆経営パワー(目の前で起きていることの)

◆組織の危機(片肺の事業部制)

◆組織の危機(経営者的人材の飢饉)

◆組織の危機(日本人の幼児性)

◆組織の発展段階

◆事業再建の教訓「自分から部下に近づく」

◆商売パワーの熟成「商売の基本サイクル」

◎大企業病に陥った企業では皆忙しく働いているのに一つひとつの商品を見ると
開発→生産→営業→客先の単純なサイクルが回っていない。
日本のカンバン方式やリエンジニアリングも仕事をフローで捉えてこの基本サイクルを早く回すための改善手法だ。
リエンジニアリングでは「商売の基本サイクル」をビジネスプロセスと呼んでいる。

◆事業再建の教訓「フン詰まり解消機能」

◎商売の基本サイクル全体に責任を持つ優秀な人が現れるとその商売は急に活発になる。
これを風通し機能、すくみあい打開機能、フン詰まり解消機能、また仕事の回転が速くなるのでサイクル加速機能
と呼ぶ。不振事業が立ち直るのはこの機能を果たす人が現れた時だけである。

★42歳も大企業ミドルが、年商6億円の倒産寸前の会社の社長を命じられる。
幾多の危機を乗り越えながら年商50億の会社にまで育て上げる、という実話を元にした小説です。

まとめると、たった二行となってしまいますが(笑)、とても勉強になる1冊でした。
経営にストーリー性を持たせ、社員を改革へ引き込んでいくパワー。
戦略とリーダーシップによって、倒産寸前の会社のキャッシュ流出を止め、不振企業から成長企業へと転換していく、
その過程の中で、自らが企業家精神を身につけ、経営者能力を開発していく姿が描かれています。

他にも、ビジネス小説としては、

『なぜ会社は変われないのか―危機突破の風土改革ドラマ』
『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』

あたりが、有名ですし、お勧めです。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog