本日の1冊です。
田口弘「隠すな!オープン経営で人は育つ」日本経済出版社、¥1200-です。
目次
第一章 合言葉は「オープン」
第二章 任せれば、人は動く
第三章 「持つ経営」から「持たざる経営」へ
第四章 「この指とまれ」でわかるリーダーの資質
第五章 売るな!
おわりに 企業の利益は市場が認めた「必要経費」
◆情報をオープンにすることが競争力を強める
◎21世紀の企業組織で働く人にとって、手の内を積極的に明かしていくことは大事なポイントになると、
私は確信しています。
◎自分が持つ情報を積極的に公開することでこそ、その価値が増します。同時に交渉過程で生じがちな
不透明感を取り除け、円滑にビジネスを進めることができるのではないでしょうか。
◆十分な情報を得てこそ、社員もやる気が出る
◎企業組織をオープンにして、その組織を構成する人間が自由に情報を得られる状態にしておくことが大事。
◎売上や利益目標といったノルマだけは与えておき、それを達成するために欠かせない経営資源などの
情報をオープンにしなければ、真に「任せた」ことにはならないと思います。
◆ミスミは、企業理念として、「オープン」の他に、「購買代理店」、「持たざる経営」を掲げています。
◎ミスミのようなオープンな組織では自分の持つ情報を原則として積極的にだすことが大事となります。
「ギブ・アンド・ギブ」の精神といっても良いでしょう。一見不合理のように思えますが、
この方が結局、自分が出す以上の情報が逆に自分のところに返ってくるのです。
◆オープン化を加速するインターネット
◎出せる情報はできる限りすべて提供する方針でホームページを作っています。月次決算を公表していますが、
将来的には日時決算まで提供したいと思っています。
◎情報ネットワーク化が進めば、少なくとも必要な情報はすべてわかり、ごまかしがきかなくなります。
お客様は商品の値段だけでなく、品質、サービスなどのいろいろな要素を比べて総合的な判断ができます。
全部あからさまにわかってしまうとなると、競争に勝つためにはそれぞれが実力をつけるしかありません。
イトヨーカー堂の鈴木敏文社長が常々言っておられるように、「絶対的価値を創造していく」しかないのではないでしょうか。
◆これからの企業は「ディスオープン」という考え方で情報を開示すべきだ
◎基本的な考え方がオープンだとすれば、どうしても出せないものはかなり絞り込めるはずです。
それを「ディスオープン」にするというのが私の考え方です。
◆ビジネスにとって社会信用が一番コストを安くする原動力
◆任せれば人は動く
◎従来の経理課の一部は予算コントロールのような仕事を担当していました。実際には、経費の投入でどれだけの
アウトプットが期待できるのかを予測せずに、ただチームの経費を削るだけでした。本当は一定額の経費の投入
に対し、アウトプットの少ないものから削るべきなのですが。
そこで、経理部門に任せず、各チームが自分たちで予算をコントロールできるシステムを作るのが先ではないか
といことになりました。経理課の予算コントロール部門を無くす代わりに、「セルフマネージメント開発チーム」
を作り、そのチームが各チームの予算コントロールシステムを作ることにしたのです。
◆社員の仕事は「商売の設計」
◎ミスミは企業目標を設定してそちらへグイグイ社員を引っ張っていく企業、一致団結して目標を達成するという
ような企業をめざしてはいません。あそこへいけば好きな仕事が自由にでき、それを追求しやすいインフラが
そろっていて、しかもそれに見合うリターンが獲得できるという、そんな「場」を提供する企業をめざしています。
◎「商売の設計」とは聞きなれない言葉でしょうが、簡単に言えば、「顧客のニーズをいかにペイさせるかを
考えること」。
◆商売の設計にはまず情報収集が欠かせません
◎ミスミが新市場に参入したときに一番関心をもつのが、いくら売れているかではなく、どれだけお客様から
カタログに付けたハガキや電話などで情報があつまってくるかなのです。
クレームを含め様々な情報が出てくるようになれば、後はそれに応えていける体制作りを進めればよいのです。
情報がどんどん出てくれば、黙っていても、売上は増えるというのがこれまでの経験から得た教訓です。
◆企業に戦略があるように、個人にも戦略があってしかるべきだと考えます。
◎企業家意識を持ち、新しい商売を設計するためには、繰り返しになりますが、やはり、自由に好きなことを
選択できることが大事になってきます。選択の自由を拘束するようなことをしてはいけないというのが
私の考えです。
◎ミスミという場でこの仕事をやりたいんだという人に、その場を提供するのが私たちの役目だと思っています。
◆自分のことは自分で決め、決めたことには責任を負う
◎ミスミにとって画一的な考え方は最も排すべきものなのです。
◆出戻り自由
◎これからは、どちらかというと、アウトサイダー的な、本筋を外れるような人間が中心になると思います。
◎本当に新しいことをやろうという人にとっては大変なビジネスチャンスの時代
◆持てば持つほどこだわりが出る
◎自分を無にしておく一番良い方法は何も持たないことなのです
◆社員の給料は市場価値できまる
◎究極はチームの利益配分
-企業経営で一番難しいのは、人間の評価ではないか。
◎年棒制に加え、チームと個人の業績には利益配分で応えている
-チームの利益配分は各チームごとの損益計算書をベースに算出し、メンバー個々の貢献度に応じて
その利益が分配される仕組みです。
◎最終的にはチームの業績評価を基に利益配分だけに、給与体系をもっていきたい。
◆オープン型組織のリーダーとは
◎いかに部下を納得させるかが大事になる
◆上司は下から評価される
◎人望、識見があれば部下は自然に集まる
◆無限にあるニーズ
◎市場の細分化こを望むところ
-私たちが取り組むビジネスは、細かいが実はお客様がたくさんいる市場ほど、成功する可能性が高いと思っています。
本当はまだまだ紹介したいテーマがたくさんあるのですが、残念ながら時間切れです。
ミスミの創業社長である田口さんの起業時代の苦労や勉強した本なども載っており非常に参考になります。
これからも、創業社長本は積極的にご紹介したいと思います。
以前、ご紹介したオープンブック・マネジメントと非常に共通項が多く、日本版オープンブック若しくは
オープンブックの進化版とも言えると思います。
本日は、この辺で。