クラウド会計や会計システム選びで大切な部門別管理会計につてい、概略を説明します。
クラウド会計システムや会計システムを導入する前に、社長は、管理会計や部門別管理について、
何ををどうしたいかを決めることが重要です。
クラウド会計や会計システム選びで大切な部門別、管理会計とは?
管理会計の目的は、経営者の意思決定を助けること
管理会計は経営者の意思決定を支援することです。
では、意思決定とはどんなことを指すのでしょう。
意思決定行う内容の例
●商品・サービスの販売価格を決める
●部門・支店・事業部の存続や廃止、統廃合を決める
また、設備投資の判断を行うこのようなことを決めるためには次のような情報が必要になります。
「製品ごとの原価を把握する」「事業部ごとの業績を把握する」「投資金額と開始予定金額のシュミレーションを行う」
会社内部のデータは、たとえ中小企業でもあまりにも膨大です。
あれもこれも分析しようとすると、経理部門に人が何人いても足りません。
そうなってしまうことを防ぐためには、分析業務の目的を確立することが大事です。
商品・サービスの販売価格を決めるという目的のためには、原価情報を把握して利幅を検討しますし、
競合他社の類似製品・サービスの市場価格や消費者の購買意欲を調査すると、さらに分析内容が明確になります。
このように目的を確立することが大事です。
大企業や伝統のある企業では、先輩から引き継いだ管理会計の資料を何十年も使い続けるケースがよくあります。今では、その分析の根拠となる、間接部門の配賦基準が誰も説明できないということがあったりします。
管理会計と大袈裟に考えず、自社の会計情報の利用目的をリストアップするとよいかもしれません。
1、税務申告の計算をする
2、銀行融資のための提出資料を作る
3、商品・サービスの販売価格を決める
4、営業マン・営業所・事業部業績を評価して賞与計算の基礎とする
5、設備投資が有利か不利かの判断をする
予算管理、業績評価、原価管理、原価差異分析などは、やりすぎるときりがありません。
また。管理領域の対象を広げると、会計システムの費用はどんどん高額になります。
そのためにも各業務の目的を確立することが重要なのです
有益な会計情報を即座に提供できること
社内における会計情報の一番の利用者である経営者からの要求に、資料作りに幾日もかかっているようだど、経営の意思決定には遅すぎます。
経営者からの多目的ニーズに対応できるようにするためには、毎月毎週に会計情報を常に同じ手順で、速やかに作成できる仕組み作りが必要です。
たくさんのデータを多角的に分析できるような準備も大切です。
管理会計情報の可視化
経営者が管理会計の情報を見るためには、様々な可視化のシステムが必要です。
Webによるレポートはもちろんのこと、CSVでシステムからデータをエクスポートしてエクセルなどでのデータ加工や、
さらには、異常数値のアラート機能など発見した問題をすぐに分析できる環境があることが望ましいことです。
当たり前のことですが、正確な会計情報と管理会計で提供されるデータは、正しいくなくてはいけません。
ドリルダウンのように、会計情報から、詳しく分析しようとすれば原因を遡及する、つまり会計のおおもとの(原始)データにまで遡れることが必要です。
正確であることと、遡及できることを両立するために、会計システムと管理会計のデータが連動し、同一データベースで稼働することが、安全です。
セキュリティが、近年、会計システムに限らず、企業内のシステムには重要視されています。
管理会計の情報は機密扱いの情報も多いために、アクセス制限が必要とされます。
予算管理は経営管理の基本中の基本
予算管理とは、当初予算と活動結果の差異を分析し戦略や活動の修正を促すことです。
予算とは、ある決算期間、例えば1年間の売上及び原価・経費について、予め見積りを立てることです。
予算管理業務は、さらに一歩踏み込み、当初予算に対して、活動結果である実績とを比較して、その差異を分析する。
この分析を、現業部門にフィードバックして、その戦術や事業活動の修正を導くのです。
予算管理業務でも大切なことは、何のために予算管理を行うのかという目的を、はっきりさせることです。
つまり、予算管理を行うことによって、会社は現場に、何をさせたいのかを、明確にするのです。
目的感が共有されていないと、昨年通りの形だけの予算を作っておこうというマンネリ状況や、
予算を作りっぱなしで、フィードバックも何もない状況となります。
予算管理業務は、ひとたび始めると、多くの人手とコストがかかるもので、このような事態にならないように注意したいものです。
現業部門へのフィードバックがない予算管理業務は、最悪です。
そこで、予算管理業務を効果的に行うために以下の施策が考えられます
●予算管理制度と人事評価をリンクすることで、動機づけをおこなう
●予算管理の方針が明確で、予算の作り方がマニュアル化されている
●予算の作成者にも、たとえ部分的であっても、主体性が入る余地がある
●予算の未達成時にも、評価があり、実効性がある
予算の作成方針:予算を作るにはトップダウン型とボトムアップ型
予算の作成方針
予算を作るにはトップダウン型とボトムアップ型の二つの方法があります。
トップダウン型とは、
経営者の設定した利益目標から逆算して 現業末端の具体的な達成目標までさかのぼるものです。
トップダウン型であれば、全体としては一貫した目標設定が比較的容易に作られますが、現業部門および現場社員の意思は反映されにくく、やらされ感のもととなる傾向があります。
ボトムアップ型とは、
予算を実行する現場社員の意思を尊重したものです。
けれども、ボトムアップ型は主に、サラリーマン的な発想の現場部門長がいると、
保守的な意向が反映されやすく達成度を高めようと低い目標立てがちであり、それらを積み上げたとき意、
経営者目線の会社目標をは著しくかけ離れる危険性があります。
どちらも一長一短なので、
実際上は、両者の折衷案、あるいは「摺り合わせ」を行うことが多いのが実態です。
多くの会社では、この摺り合わせに、経理部門・管理部門が、来期予算策定のために、たくさんの時間・工数をとられています。
予算編成の作成手順
予算の方針に従い、
実際の予算数値を組み立ていくことを、予算編成といいます。
予算と実績の比較予算は、作成したら終わりでは経営管理の体裁をなしません。
実績と予算と対比して、当初の予算通りに事業が展開しているかどうかを、会議の場で、検討・追及することが重要です。
そこで、予算と実績の比較によって差異があれば、その原因を明らかにして、今後の対策を立て、
その対策の実施の期日設定を行ったうえで、会議でフォローしていくこととなります。
今後、ますます重要性が高まる間接費の管理
間接費とは、発生した費用を、直接的に、部門や製品に関連付けることは困難な費用のことを言います。
会社の経費を分配していくときに、直接賦課することのできない間接費を、ある一定のルールで、プロフィットセンター(収益部門)に賦課することで、部門別損益管理を厳格にやっていこうという考え方です。
部門別損益管理を運用していく際に、どの部門の費用とも特定できずどのように部門別損益を把握すれば良いかという課題が発生するものです。具体的には、以下のようなものです。
1、社長が客先同行した場合の、交通費・人件費のコストはどの部門が負担するのか
2、部門の事業所は部門別配賦できるが、本社部門の費用はどこが負担するか
3、人材の採用や、トラブル対応の弁護士費用などに関する費用どうするのか