板倉 雄一郎 (著)『社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由』

書評

板倉 雄一郎 (著)『社長失格―ぼくの会社がつぶれた理由』
日経BP社 (1998/11)

目次
 プロローグ 1997年12月24日
 第1章 創業―1984年2月~92年9月
 第2章 展開―1992年10月~95年8月
 第3章 ハイパーシステム―1995年9月~97年1月
 第4章 転落―1997年2月~10月
 第5章 倒産―1997年11月~12月
 エピローグ 再び、1997年12月24日

 『ぼくは、自分の自信と意欲の根拠となっていたものが失われてしまったことに気づいた。
  小学五年生のときだ。生まれて初めて女の子が好きになった。それまで全然勉強の
  できなかったぼくが、必死に、と言うと大袈裟だが、とくにかく勉強をするようになり、
  成績は一気にトップクラスになった。中学から高校にかけては、学校の成績が良いばかり
  では満足できず、バンド活動を通して自己表現をした。勉強ができる、音楽をやっている。
  それが、女性を口説くとき、友達と話すとき、自分の意見を押し通すときの自信の根拠と
  なった。
   二十歳で会社を興してからは、事業がそれに代った。事業が自分の表現手段だった。
  自信の根拠だった。その源があっさり無くなった。』

 『小さいときから、人の真似をするのが大嫌いだった。』

 『電話というメディアに対し人々がどんな顕在需要および潜在需要を有しているか、ぼくは、
  個人的な経験からわかっていた。というのも、このころ仕事以外に一番はまっていたのが
  テレクラだったのである。どんな具合にはまっていたか、詳細な説明ははぶくが、
  非常に具体的に思い浮かべることができた。』

 『ぼくは、いろいろな雑誌に広告を打つ過程で、後のビジネスにつながる貴重な体験をした。
  一般に広告というのは、いくら打っても、はたして本当に効果があったのかどうかわかり
  にくい。しかしこのとき実施した雑誌広告では、その効果を非常にはっきりと確認できた。
  広告を掲載した雑誌の発売日の直後、ハイパーダイヤルに対するユーザーからの
  コールが明らかに増えたからである。
   それだけではない。ぼくには各雑誌の広告費用対効果をはっきり知ることができた。・・』

 『当社は財務資料をディスクローズしていた。当然、どの銀行も内容をチェックしている。
  資金の一部を引き上げたままにして折り返し融資をしなければ、資金繰りが破綻して倒産して
  しまうことは、彼ら銀行もよくわかっているはずだった。・・』

 『いま資金繰りに困っています。必要な資金はおよそ六億円です。その援助をお願いしたいんです

。』

 『こんなところです。とにかく財務部門が弱かったということです』

 『そもそも、ぼくは日本の企業社会において経営者を務めるうえで、致命的な欠陥を有していた。
  「組織」に対する理解がまったくなかったのである。社内人事、社外営業、金融機関との
  付き合い、広告主との付き合い、マスコミへの対応、そしてプライベートでの振る舞い。
  どの場面においても、企業や社会といった組織に対する根本的な理解を欠いていたがゆえの
  ミスを、ぼくはいくつも犯してきた。・・』

★何かの成功本(?)で、他人の失敗事例をあまり勉強する意味がないというような趣旨を
 読んだので、この方の存在は知っていましたが、あえて避けてきました。