戦略的マネジャーの本質と経営行動―次世代リーダーシップの条件

書評

『戦略的マネジャーの本質と経営行動―次世代リーダーシップの条件』ダイヤモンド・ハーバード・ビジ

ネス編集部【編集】
出版社: ダイヤモンド社 (1997/08) ASIN: 4478360340

目次

 1 リーダーシップの本質
 2 パラダイム転換期のリーダーシップ
 3 パラドックス・リーダーシップの知恵
 4 知識社会のリーダーシップ
 5 プロフェッショナル・マネジャーとは何か
 6 リーダーシップの新しい使命

◆企業の目的と方向性を示す

 『優れたリーダーは、意思決定の流れの入り口と出口、すなわち「関心」と「決定」だけは他者に
  譲らないものだ。逆に言えば、社会(会社でない)に対して常に目を見開き、環境変化を察知する
  ことで、次に何をすべきかの関心を持つ続け、適切なタイミングで決定しうる者が優れたリーダー
  なのである。』

◆意思決定の透明性

 『 筆者は、意思決定において、その結論(決定事項)だけを伝えるリーダーシップは最低だと
  考えている。何のためにという決定プロセスを示さないことで、「意思決定の透明性」が持つ
  組織メンバーの納得性とヤル気をみすみす捨ててしまっているからだ。』

◆選択肢の幅を広げる

 『「戦略とは捨てることなり」というのが筆者の経験則である。問題は、自分が何かを選択したと
  思うとき、何を捨てたのかを明快に自覚しておくことである。そのためには、採用しない選択肢の
  持つメリットをしっかりととらえておかなければならない。だから選択しそうにもない選択肢も
  俎上に載せる必要がある。また、そのようなプロセスで決定していけば、メンバーのコンセンサス
  を十分に形成することができる。
   もし、絞り込んだ選択肢のメリット、デメリットだけを取り上げて決定すると、必ずあとで
  一度捨てた他の案のほうがよかったのではないか、という迷いを生じさせることになる。これは、
  戦略の実行に大きなマイナスとなる。
   したがって物事を決めるときは、一度すべての選択肢をテーブルの上に広げて、その一つひとつ
  を俎上に載せながら、最終的に取り上げる理由、落とす理由を明確に示しておくのである。
   こうすれば、採用した選択肢にデメリットが、あるいは不採用としたものにメリットがあったと
  しても、選択決定後に再び廃案を復活させるというおかしな動きはなくなるはずである。特に、
  物事がうまく展開していかないときにそうした意見が出てくるものだが、そのとき、きちんとした
  対処ができていれば、あのときこのような理由だったから廃案になったのではないかということで
  一件落着させることができるのだ。
   一見、非常に手間のかかる決め方のように思えるが、こと意思決定のような重要事項において、
  このような手順を踏んで進行することが大事になってくるのである。』

◆プロフェッショナルとは何か

 『 プロフェッショナルとは「ある学問体系に裏づけられた高度な技能を、倫理感を持って、
  依頼人のために活用し、問題解決を図ることで報酬を得る人」のことです。日本ではきちんと
  定義されないまま。あいまいに使われていますが、アメリカでははっきりとした定義があります。』

◆新しい経営環境とマネジャーの仕事

 『 だれのコントロールも受けず、だれもコントロールしない、つまり「指揮権というものが
  存在しない状況下で、いかにマネジメントを行うか」について学習していく必要があります。』

◆苦痛・苦悩を調整する

 『 新しい仕事に適応する際には苦痛が伴う。リーダーは、解決策が見えない挑戦に向かって
  メンバーが動く前に、人間は多くのことを一度に学習できない、ということを理解しておかねば
  ならない。と同時に、現実が新しい挑戦を要請しており、それゆえに変化は当然であるという
  ことをメンバーに納得させなければならない。メンバーたちは、プレッシャーに押しつぶされ
  そうなときに新しい方法を学習できないが、かといってそのすべてを取り除いてしまうと、
  新しい仕事に適応しようという意欲を削ぎかねない。リーダーは、メンバーに変化が必要だと
  感じさせることと、変化へのプレッシャーを意識させることの微妙なバランスに注意しなければ
  ならない。リーダーシップは、使い方次第では諸刃の剣になりうる。』

◆仕事の責任を社員に委譲する

 『 組織の中のだれでも、ある特定の立場に入っている情報を入手するための独自のルートを
  持っているものだ。そして、いろいろな必要性やチャンスに気づいているもののそれに
  取り組もうとはしない。市場に訪れた最初の変化に気づく人は、組織の周縁にいる場合が
  多いが、その市場情報を戦術や戦略的意思決定に活かせれば、その組織は成功を収めることが
  できるだろう。その情報に基づいた行動を起せなければ、ビジネスは適応に失敗するのである。』

 『 人は生まれつき自信を持っているわけではない。自信満々の人でさえ自信をなくすことがある。
  自信というものは、成功、経験、そして組織の環境から生まれる。リーダーが果たすべき最も
  重要な役割は、人に自信を徐々に教え込むことだ。人はあえて危険を冒し、その責任を負わなくては
  いけない。そしてリーダーは、彼ら彼女らが失敗したときにサポートし、バックアップして
  あげなくてはならない。』

★かなり古い本ですが、
 今回は、見読本の山の整理の中で、浮上してきました。

 複数の方が書かれているので、リーダーシップに関するいろいろな考え方が参考になります。
 10年近く前ですが、あまり古さを感じませんでした。

本日は、この辺で。