すべては一杯のコーヒーから

書評


『すべては一杯のコーヒーから (単行本)』松田 公太 (著)
出版社: 新潮社 (2002/05) ISBN-10: 4104546011

目次

 第1章 情熱を込めて
 第2章 使命感を持って
 第3章 経験を積む
 第4章 自分を信じて諦めない
 第5章 人こそすべて
 第6章 将来を見据えて

◆「スペシャルティコーヒー」発祥の地・シアトルへ

 『 タリーズとの運命的な出会いは、シアトルでの一日目、飲み歩きを始めてちょうど十店目
  のことだった。最初にドリップコーヒーの「コーヒー・オブ・ザ・デイ」(本日のコーヒー)
  を飲んで、「何てうまいだ!」と感じたのが第一印象だった。衝撃的といえる味である。
  実は、もうこの頃にはコーヒーを飲むのがきつくなり始めていたのだが、一気に飲み干すこ
  とができた。他のコーヒーに比べて最も雑味がなくコクがあり、しかも渋みの中に不思議と
  甘みすら覚えた。それまで飲んだなかで、香り、味ともに最高だ。その考えは、結局、
  五十店を回り終えるまで変わらなかった。』

◆日本における権利獲得

 『 帝国ホテルでトムに会った翌月、私は再びシアトルへと向かった。実際に会って以降、
  メールを送ってもトムかアールジェイから必ず返事があるようになった。以前では考えられ
  なかったことだ。向こうも乗り気になってきている。あと一押しが必要だった。
   これも銀行の営業で学んだことだが、最初に好感触を得たからといって、それだけで契約
  が取れるわけではない。少しでも油断して、電話だけで「宜しくお願いします」なんてやって
  いると、いつの間にか話がひっくり返ってしまうことは日常茶飯事。契約書にサインするまで、
  また、売買や融資の契約であれば口座にお金が入金されるまで、気を許すことはできない。
  「詰め」が一番重要であり、最もエネルギーをかけるべきところなのだ。
   タリーズに関しても同様に考えていた。メールだけでは自分の情熱は伝われない。再びトムに
  会って訴えようと思った。』

◆幻の「広尾一号店」

 『 やっとこのことでオーナーから「貸してもいい」という許可が出て、次に私が決断を迫られ
  た。立地条件は自分が望んでいたものとは違っている。今後のタリーズの命運を左右する
  一号店としてはどうなのか。とはいえ、この物件を見送っても、もっと良い物件に巡り合える
  保証はなかった。
   97年1月、トム・オキーフと契約が成立してから、すでに四ヶ月以上が経過していた。
  いつまでもぐずぐずしているわけにはいかない。私は「一号店は広尾に出す」と決断し、
  保証金の30%に当たる三百万を手付金として支払った。銀座の物件の話が舞い込んできたの
  は、その直後のことだった。
   だたし、あくまでも情報を入手したというレベルの話であって、銀座の物件を獲得できる
  という確証は全くなかった。しかし、当初から「一号店を出すなら」と考えていた銀座である。
  私はチャンスに賭けてみようと決めた。広尾の物件を契約するため、残りの保証金七百万円を
  支払う期限が、一週間後に迫っていた。資金力やマンパワーの面からも、銀座と広尾の二店舗
  を同時に進めるのは不可能。そこで銀座一本に照準を合わせれば、広尾の手付金三百万を捨てる
  ことになる。知人や親戚から借りた資金を無駄にするのは忍びなかったが、私には選択肢は
  なかった。
   私にとっては、経営者として直面する初めての大きな岐路だった。資金の大切さ、決断の意味
  というものを実感したのも、このときが最初だったと思う。振り返って感じるのは、経営者と
  は、自分の気持ちに対して妥協してはならないということだ。』

◆店に泊まり込んだ日々

 『 銀座店での日々が、体力的には一番きつい時期だった。店は年中無休で、私も休みは一日も
  なし。営業時間の朝七時から夜十一時までバリスタとしてコーヒーをつくり続けた後、閉店し
  てからは店内の掃除や事務的な仕事が待っている。すべてを終えて寝るのが午前二時から三時
  頃。当然、横浜の自宅まで帰る余裕もなく、週の半分以上は店に泊まり込むことになった。
   地下の座席に寝袋を敷いて寝るのである。秋になる頃には寒さがこたえ始めた。閉店後、
  暖房は止めていたので、寝袋のなかに電気毛布を入れて寒さをしのいだ。疲れで朝も起きられ
  ず、六時半頃、仕事にやってきたバイトの声で目覚めるというのもしばしばだった。
   体力には自信があったが、オープンから二ヶ月で体重は七キロ減って六十八キロになった。
  朝、昼と売れ残りのパンを食べ続ける毎日だったから、それも仕方なかった。
   外で外食するのは、閉店後の仕事の合間に取る遅い夕食だけ。といっても、深夜にやっている
  のは牛丼店か、ラーメン屋くらい。それでも温かい食事はうまかった。』

★起業家は一度、手に取ると良い内容です。
 どんな困難があるのか、契約書がいかに大切か!!
 あるいは、家族のサポートがどれほど重要か!!!

 もちろん、
 本人の情熱と、行動力が何よりです。

 そこまで、やるか、というオンパレードです。

本日は、この辺で。

編集後記

昨日の父の日のプレゼント。

ぶーちゃんが、自転車に乗れるようになったことです。

(我ながら、何を書いているのかよく分かりませんが)

「父の日なのに、パパに何もプレゼントがないな」と言うので。

「ぶーちゃんが、自転車に乗れるようになったら、それが一番のプレゼントだよ。」

そんな話をしながら、土曜日に練習をしていました。

まぁ、ほとんど乗れるようになってましたが、

日曜日の夕方、公園に顔を出すと、

自分で漕ぎ出し、スイスイ、自転車に乗れる、ぶーちゃんがいました。

子供が、何かをできるようになる姿を見ていると、何だか、

自分も頑張ろうという気概を持てました。