『よき経営者の姿 』伊丹 敬之

書評

『よき経営者の姿 』伊丹 敬之(著)
出版社: 日本経済新聞社出版局 (2007/01) ISBN-10: 4532313112

目次
 
 第1章 顔つき
 第2章 仕事
 第3章 資質
 第4章 育ち方
 第5章 失敗
 第6章 退き際

 『「まず、自分は能力があって社長になったと思い込む。そして、能力を確かめたくなる。
  かっこをつけたくなる。そのため、社外のいろいろな会合(できるだけハイレベルで
  有名人が集まる)に頻繁に顔を出すようになる。そこで得た情報が最先端の情報、
  時流と思い込み、社内ではオレしか知らない、と密かに自慢に思うようになる。
  そして、その情報をもとに、【社長ごっこ】【経営ごっこ】が始まる。
   かっこよく業績をあげることを考え、それは難しくないと思い始める。それが簡単では
  ない現実を見ると、うちの会社は本当に馬鹿ばかりでどうしようもない、という発言を
  するようになる。社長の集まる会合でも、同じような素質をもった社長連中が集まって
  いるため、【うちはだめなやつが多くて】とお互いに愚痴を言って、満足するようになる。
   そして、また自社に戻って、社長ごっこ、経営ごっこをする。それは、業種が異なっても
  同じである。集まっては散らばり、を社長たちはあちこちで繰り返して行うのだから、
  社長ごっこの誤りは日本中に広まり、みんながグローバルスタンダードに従え、と言い出す
  ことになる」】

 『「社長たちに望みたいのは、とにかく自分の頭で考えぬいてほしい、ということである。
  そして考え抜くだけの時間をきちんと作ってほしい。考えるための体力を温存してほしい。
  考えるための思考の枠組みを自分でもつよう自己修練をしてほしい。そして、考え抜くための
  もっとも重要な情報は現場にあると思ってほしい。・・・』

◆棟梁と経営者

 『「棟梁の大きな仕事は、人に仕事をしてもらうことにあります。どんなに腕がよくて、
  木の癖を見抜くことができても、自分一人では建物は建たんのです。一人では柱一本持つ
  こともできませんがな」
  「若いとき【西岡は鬼や】とよくいわれました。それほど気を張って、仕事のことばかり
  考えておったんでしょうな。隙を見せんと、間違わんようにと気張っていたんでしょうね。
   昔は自分一人でできるような気になるもんですから怒るんですねな。何でこんなことが
  できんのかと思いましてな。誰もが自分と同じようにできると思うんですな。また頼んだ
  ことを全部完全、完璧にしてもらなわ、許せんのですね。ところが実際には、そないなわけ
  にはなかなかいきません。どうしても【させたろ】という気が先に立ちますのや。それが
  近ごろでは【してもらう】という気になりますものな・・
   仕事はしてもらうんですね。建築という仕事は芸術家が自分一人の責任で造るのとは
  違いますから、気に入らんというて壊したり投げ出したりはできませんのや。そのうえ
  大勢の人がおらんとできませんからな。やってもらわなならんのです」』

◆設計者の条件──戦略眼と組織観

 マクロマネジメントの内容としては
  1、企業全体の方向性を決める
  2、資源の配分の基本枠を決める
  3、組織の構造と管理の仕組み(経営システム)の基本を決める
  4、その仕事の仕組みの中での人の配置を考える

◆経営離縁の策定者、伝道者

 ◎経営とは、他人を通して事をなすこと

  『他人に、自分が望ましいと思う何事かをしてもらうこと』

★骨太の1冊です。
 現役の経営者、とりわけ、後継者を育てるとか、
 社長引退を考える、そういうタイミングにぴったりです。

 いろいろ、考えさせられましたし、
 厳しい判断の後押しを、してもらえた1冊です。

本日は、この辺で。