丹羽宇一郎著「人は仕事で磨かれる」文芸春秋です。4163667601

目次
 第一部 四つの大いなる決断
  第一章 掃除屋
  第二章 新領野の開拓
  第三章 負の遺産
  第四章 経営者を引き受けるということ 

 第二部 決断する力を養う
  第一章 本屋さんの息子
  第二章 自分を鍛える
  第三章 コミュニケーション環境を整える
  第四章 人を育てる

◆掃除屋としての最後の仕事
 ◎2004年4月2日、伊藤忠商事は、2004年3月期の連結決算で320億円の赤字を計上する記者発表を行いました。
  2005年度から適用される日本会計基準における「固定資産の減損会計」を早期適用した結果です。

 ◎減損会計の早期適用は、言うまでもなく、資産の健全化を図ることが目的です。また前期は201億の黒字で
  収益力も向上していますから、体力のあるときのこれを断行したいという思いもありました。

 ◎社内でも賛否両論
   →「先延ばしは嫌だ。やるからには全部やれ」と指示をだした。

◆日本会計基準における固定資産の減損会計
 ◎企業が保有する固定資産の収益性が低下し簿価よりも下回った場合、それに合わせて減額を計上する会計のこと。
  国際会計基準のベースとなっている。これにより、バブル期に投資した土地などの収益性が厳しき問われる。
  日本では、2005年度から強制適用される予定。

◆(社長)「任期6年」の真意

◆果たされた「スキップ・ワン・ジェネレーション」

◆社長を辞めたらタダの小父さん
 ◎今でも電車通勤を続けているし、長いことカローラに乗っている。

◆スペシャリストはゼネラリストになれる
 ◎そもそも経営というのは、実務を行うこととは異質なもの。どうやってお金を儲けるかということよりも、
  もっと大切なポイントがある。それは、経営管理、すなわち人を動かす力や、組織を改革する力といったものです。

◆過去最大の投資ファミリーマート
 ◎(交渉の勝負どころで)絶対に動くもんかと思っていました。和田さんがこの状態で一時間我慢するなら、
  私は一時間半我慢する。相撲の水入りのときと同じで、絶対に動かない。辛抱しきれずに動いた方が負けだと思っていました。
  これはビジネスで決着をつけるときの一つの要諦だと私は思います。

◆海外市場についての考え方
 ◎その基本は、やはり誠実さと言行一致なんです。絶対に裏切らないこと。言ったことは必ず実行に移す。しかも早く行動する。

◆雪印乳業への出資はなぜ決行されたか

◆みんなの喜ぶ顔が見たい
 ◎社長として目指すところ
   →社員が喜び、株主も喜び、取引先にも「伊藤忠はいい会社だ」と言われることだ。

◆給料返上
 ◎2000年3月期は単体で1630億の赤字を計上して、無配でした。そのケジメをつける意味で、私は「当分、ただ働きする」
  と宣言しました。→3ヶ月で業績回復し、無給期間は終了した。

◆株式会社は永遠ではない
 ◎「会計は経営の言語である」という言葉のとおり、会社は会計でコミュニケーションをとります。
  人間同士が話し合うのに言葉を必要とするように、会社は国際統一基準に基づいた会計制度を持って、初めて
  会社同士の会話ができる。さらに会計を公開することで欠陥を補い、株式会社は有効に機能するようになったんです。
 ◎こうした会社法ができてから、まだ120年しか経っていない。だから、永遠ではない。

◆「クリーン、オネスト、ビューティフル」

◆新たなる収益構造を見出せ

◆読書は想像力の源
 ◎私がこれまでの自分の人生を振り返ってみて誇りに思うのは、絶対に読書を欠かさなかったことです。
  これまでの何十年という間の読書の習慣の蓄積は、人に負けないものだと思っています。

 ◎読書というのは、ご飯を食べるとか、朝起きたら顔を洗うとか、そうした日常の生活習慣と同じ感覚にならなければ
  ホンモノじゃないと私は思います。

 ◎たえず考えながら本を読むことです。読書でしか得られないもの、それはやっぱり論理的な思考です。
  物事を掘り下げて考える力や、本質をとらえる力は、読書をすることで養われていきます。

◆自分の能力に謙虚になれ

◆アメリカは、偉大なる田舎だ。それが私のアメリカ観です。

◆人の話は記憶に残らない

◆声なきは、会社に対する反逆だ

◆知の衰退
 ◎その大きな要因の一つは、本を読まなくなったこと。

◆エリートを育てろ
 ◎エリートなき国は滅びる
 ◎「ノーブレス・オブリージュ」─他人のために尽くす。悪いときは矢面に立ち、良いときは後ろに下がる。
                 謙虚さと謙譲と献身の精神を持たなければならない。

◆10年後、役員の半数を外国人と女性に

★松井社長とも通じるところがありますが、言葉が明確で、立ち位置がハッキリしており、痛快な方です。
 以前から、日経ビジネスのコラムや日経新聞の談話など、お話しは常々おもしろいなと思っていました。
 しかしながら、仕事の評価がちょっと分かっていませんでした。
 とても、大きな決断を下され、見事に「伊藤忠」を復活させたのだと理解できました。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog