『壁を壊す』吉川 廣和(著)
出版社: ダイヤモンド社 (2007/11/2) ISBN-10: 4478001669
目次
序 章 「壁を壊す」企業改革
第一章 破壊のはじまり──合理化への道
第二章 事業構造改革による、さらなる破壊──撤退、売却、そして再生へ
第三章 新しい会社へ──再生は「形づくり」から
第四章 徹底的に「開かれた会社」への転換
終 章 壁破壊の改革から学んだこと
◆会社には無数の「壁」がある
『 会社には、比喩的な意味でも、無数の見えない「壁」がある。
部門ごとの壁割りの組織の壁、現場と管理職、社員と役員を分ける上下の階層の壁、会社の外部に対して
情報を見られまいとする会社の壁、人間関係や個人的な利害関係に由来する人の心の壁、そしてこれらが
複合的に絡み合って醸成される風土・文化の壁などである。
それぞれの壁については後述するが、こうした「壁」は、どの会社にも共通して存在するものであろうが、
いずれも簡単には崩せない。中でも、これらの見えない壁をさらに厚く高く補強しているのが、物理的な壁の
存在である。
ならば、まず壊してしまえばいい。ついでに固定のデスク、ロッカー、パーテーションも追放して、部門や
役職ごとに囲まれないよう、フリーアドレスにしてしまう。万一不都合が生じるようなら、そのときに元に
戻せばいい。やってみなければわからないことも多いのだ。仕事の仕方をまず形から変えていく。これが、
単純かつ実践的な私の発想だった。』
◆「物理的な壁」破壊は、「組織の見えない壁」破壊の第一歩
◆「べき論」はいらない。「やり抜く」ことこそ仕事
『「べき論」を語る人はきわめて多い。「社内を改革すべき」と声高に叫ぶ人は、どんな会社にもたくさんいる。
居酒屋は、この種の激論であふれている。自分はいつも正統派、正義の味方である。翌朝になれば、昨夜の世論は
すっかり忘れている。主張することで解決してしまったからである。実行する覚悟も能力も責任もない正論である。
多くのマスコミが得意とする分野でもある。』
◆資産構造改革、有利子負債削減──遊休資産を洗い出し、借入金を減らせ
『 不良資産は、どこかの時点で処理しなければならない。過去から先送りされて積み上げられたもの。今の経営陣の
責任によるものはほとんどない。だから「手をつけたくない」という誘惑に駆られないわけでもない。経営者としては
つらいところだが、次の世代まで積み残すわけにはいかない、との強い思いを共有していた。』
◆書類の大半はゴミである
◆会議無用──「有料なら使わない」会議室を撤廃
◆中間管理職の仕事は部下を管理することではない
◆「諸先輩、引退してください」。新しい水を新しい革袋に
◆餅は餅屋に、スーパーは大手スーパーに
『 その後、幸いにして全国チェーンの大手スーパーが名乗りを上げてくれた。このとき、先方に一つだけ条件をつけた。
150人余りの全従業員を、再雇用することだ。やはり地域社会への影響をできるだけ少なくするためである。もっとも、
この配慮はいささか空回りに終わった。先方は雇用を約束してくれたが、面接を受けた従業員の約半数が拒否したので
ある。労働条件がかなり厳しかったらしい。業界の厳しさを、我々も改めて認識させられることとなった。やはり、
当社はぬるま湯であった。』
★現役の会社・CEOです。
自ら、休日出勤で、壁を破壊し、これ以上壊すと、ビルの構造が持たないというところまで、
うち壁を壊したそうです。
過去の膿を出し、
しがらみを断ち切り、諸先輩へも立ち向かい。
まあ、普通、なかなかできないことです。
そういった意味では、構造改革という掛け声だおれにおわっている全ての会社の、方に、
超おすすめです。
本日は、この辺で。