『覚悟の経営』有村 佳子(著)
出版社: PHP研究所 (2007/8/21) ISBN-10: 4569692753
目次
第一章 私の生き方
第二章 経営について考える
第三章 生きることの意義
第四章 ご縁をいただいて
第五章 きっとまたいらしていただける何か
~指宿の町づくりに託す未来~
『 私は若いころから、それこそ地獄の底を這うような生活を送ってきました。越えても越えても困難が
立ちはだかり、やっと解決して出口が見えてくるかもと思ったら、また、新しい困難の入り口が待ち受けている。
先の見えない焦燥感でいっそ死んでしまいたいとさえ思ったこともありましたが、カトリックの信者である
私には、自殺は許されません。絶望の淵で何とか踏みとどまって生き抜き、今は忙しいけれども、やっと心穏やか
な日々をすごせるようになりました。』
◆夫・有村芳郎との出会い
『 昭和39年5月に婚約が整い、翌40年3月に東京で挙式しました。その結婚式を目前に上京してきた有村は、
父に「僕は実業家になります。実は、三つの夢があるのです」という話をしたのです。一つは、日本ホテル協会に
加盟できるような立派なホテルをつくること、二つめは、焼き物の窯をつくること、三つめは、温泉熱による
水耕栽培で、観光と農業が一体となった地域振興に取り組みたい。有村が滔々と語るのを、父は「あなたなら
できるでしょう」などと満足げに聞いておりましたが、私は「この体では無理だわ」と心の中で思っていました。』
◆盛和塾への入塾
『 私が入塾後のはじめてのレクチャーの日です。
名誉会長は講和の途中で、「この中に、赤字の会社があるかなぁ?」と切り出されました。
指宿ロイヤルホテルは創業から一度も黒字になっていないなと思いながら聞いていたら、
「その会社はなぜ赤字かわかっているか。社長がボロだからだ」と厳しく指摘されたのです。
私はドキッとしました。
亡き有村と私がボロの経営者であると言われたようなものです。稲盛名誉会長の言葉は続きます。
「その社長は何がボロかわかっているか。心がボロなのだよ」私は恥ずかしくて、顔を上げられません。
「経営はすべて心だ。心を高めるから、経営は伸びてゆく。では、心を高めるとはいかなることか。ただ一つ、
良きことを思うことである。どんなにつらいときや苦しいときにも良きことだけを思っていたら、赤字会社は
必ず黒字になる。いつでもできるし、タダでもできることだ」』
『「禍を転じて福となせ。おきることすべて良きこと。不幸、災難、病気が来たら、ようこそと言え。
今こそ飛躍できるときだ。』
◆経営者の仕事は決断と命令
『 経営者はとかく、自分のやりたいことを優先し、
従業員の整理、賃金カットなど、やりたくないことは後回しにしがちです。
しかし、やりたいことはいつでもできます。
優先順位が同じなら、やりたくないことからまず手をつけるべきでしょう。
従業員も、社長が幹部三人を本当に辞めさせるのか、私の本気度を固唾を呑んで見ており、
私が断行したのを見て、「こういうことをしてはよくないのだ」と納得したのでした。
経営者は行動で従業員に厳しさを示すことが大事で、
そのうえで、決断し、命令したことに対しては、全責任を取る。
一番いけないのは、感情で命令することです。従業員を辞めさせるにしても、「虫が好かない」「自分と
合わない」などと奸悪で人事をするようになると、まわりにイエスマンしかいなくなり、経営者は裸の王様になって
しまいます。人事は、自分の言うことを聞く・聞かないではなくて、会社のこれからの行く末を考えて、
判断すべき問題です。』
★著者ほどの苦労された方が、
経営者として、一流になられたことに、意味があると思います。
最近の風潮として、
史上最年少だとか、若くして苦労なく成功するのが、カッコイイ、といのがあります。
もりろん、それはそれで良いのかもしれませんが、
まぁ、良いときばかり続くわけでもないと、稲盛名誉会長はじめ、多くの先輩経営者が語っています。
とりわけ、
この本でぇは、『稲盛和夫の実学─経営と会計』にエピソードとして、出てくるのが著者ですという、
告白のくだりがあります。思わず、へぇ、そうなんだと、ニンマリしてしまいます。
本日は、この辺で。
編集後記
下の子(1歳)とも、触れ合う時間が、じっくり持て、
楽しい、三連休となりました。
稼働日が短いと、大変ですが、
月末を、勢いよく、駆け抜けたいと思います。