『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? 』池谷 裕二(著)
出版社: 祥伝社 (2006/09) ISBN-10: 4396681135
目次
1 脳はなにかと記憶する
2 脳はなにかと疲れを溜める
3 脳はなにかと思い込む
4 脳はなにかとやる気になる
5 脳はなにかと理性を失う
6 脳はなにかとド忘れする
7 脳はなにかと言い訳する
8 脳はなにかと熱中する
9 脳はなにかと錯覚する
10 脳はなにかと期待する
11 脳はなにかとウソをつく
12 脳はなにかと体に頼る
13 脳はなにかとダジャレを言う
14 脳はなにかと夢を見る
15 脳はなにかと眠れない
16 脳はなにかと占いが好き
17 脳はなにかと”波”に乗る
18 脳はなにかとボケていく
19 脳はなにかと冴えわたる
20 脳はなにかと念押しする
21 脳はなにかと不安がる
22 脳はなにかとうつになる
23 脳はなにかと干渉する
24 脳はなにかと依存する
25 脳はなにかと満足できない
26 脳はなにかと曖昧になる
◆「作業興奮」のススメ
『 もう一つは、体を実際に動かしてみるということです。やる気がなくてもまず始めてみる。年賀状を書く気になれ
なくても、まずは机に座って書き始めてみる。そうすることで、脳がしだいに活性化し、やる気が出て、のめり込んで
いく、ということがあります。これを「作業興奮」といいます。興奮とは、「脳の神経細胞が活性化する」という
意味です。』
◆重要なのはストレス解消ではなく、解消する方法を持っていること
『 「スポーツでストレス解消をする」「音楽を聴いて解消する」などとよく言います。これは、スポーツや音楽が、
実際にストレスを解消させているというのもあるとは思いますが、それだけではなく、「スポーツをすることで
解消できるんだ」と思い込み、一種の逃げ道をつくることで、間接的にストレスが減っているのではないでしょうか。
なぜならば、ストレスというものは基本的には慢性的なものです。ですから、スポーツを一時間やってストレスを
解消したとしても、残りの時間の23時間はやはりストレスを感じているわけです。この意味では、ストレス解消に
なっているとは考えにくいわけです。
つまり、重要なことは、ストレスを解消するかどうかではなく、解消する方法を持っていると思っているかどうか
です。そして、それ以上に重要なことは、「別にストレスを感じてもいいんだ」と考えることだと思います。
ストレスをあまりに怖がりすぎると、実際にストレスを受けたときに、必要以上に反応してしまいます。それよりも、
「ストレスはどうせ避けられないものであって、ストレスを受けても、私はいつでも解消できるのだ」と信じている
ことが肝心なのです。』
◆心が見えるのはいいことか
『 <嘘も方便>などと言いますが、たとえば自閉症の患者さんは、相手の気持ちがわからないことが一つの特徴です。
ですから、彼らは嘘をあまりつけません。肥満症の女性にも平気で「デブだね」と言ってしまいます。思ったこと
そのままです。言われたほうはどう感じるだろうかなどと、相手の気持ちが想像できないから言ってしまうのです。
嘘はよくないと、小さい子どもは先生や親から言われて育ちますが、現実には嘘を言わなくてはいけないときも多い
わけです。』
◆人間に〈自由意思〉はない!?
◆悩まなければ、記憶力も低下する
『 計画を立てたり、決定を下したりする脳部位が「前頭葉」です。そこが部分的に障害を受けると、その人から悩み
が消えてしまいます。
悩みが消えてしまうと聞くと、「悩まないなんて、いいな」と思うかもしれませんが、実際には、悲惨なものです。
本人は悩んでいないから、確かにその限りにおいては幸せそうなのですが、悩みのない人は社会に適応しながら生活
することができません。
何も悩まないことから生まれた単純な明るさと、悩んだ末に生まれる前向きの明るさは、明らかに違います。
悩まない人たちは、記憶力も低下します。そもそも、記憶というのは、未来の自分のためにあります。未来への
計画性のない人にとっては、記憶は不要なのです。
ただ、これは因果関係が明確ではなくて、悩まないから記憶ができないのか、それとも逆に、記憶ができないから
予測もできずに悩まないのか、この点は、まだ議論の分かれるところです。おそらく両方のタイプの患者がいるので
しょう。いずれにしても、こういう患者は、人付き合いもうまくできず、社会に適応できません。』
★神田さん推奨の本で、
じっくり、楽しく読めました。
人間に自由意思は・・のくだりは、神田さんのセミナーでは、よく聞くのですが、
正直、今一つ、実感をともなっては、理解できません。
ただ、
ストレスのお話は、すぐにでも、実生活で役立てられるように思いました。
本日は、この辺で。
編集後記
今日の、本を読んでいて、
思い出しました。
高校時代、
「ニタは、悩みがなさそうで、いいよな」
「悩みがないのが、悩みです。」
なんて、軽口を叩いていました。
本当に、その頃悩みがなかったのか、覚えていませんが、
いまは、人並に、悩み多き、人間になりました。