松井道夫著「好き嫌いで人事」日本実業出版社です。4534039298
目次
第1章 組織論
第2章 人材論
第3章 採用・教育論
第4章 人間評価の主観と客観
第5章 分配論
第6章 リーダー論
◆真っ青大企業病
◎忙しいのはいい。しかし、どんなに多忙と極めようとも、利益を上げなければ、何の意味もない。
利益が横ばいなのに、倍忙しくなったとしたら、それは仕事の効率が半分に落ちていることである。
◎組織を大きくすることにより自分を大きく見せたい単なる見栄っ張りの、組織の奴隷の発想である。
◆組織の要は好き嫌い
◎何かを成し遂げるため、挑戦するため、人が集い、生き生きとした目をもつ自由人が、個々のパフォーマンスを
極大化しうるインフラ・仕組みが「近代的ビジネス組織」のはずである。
◎松井証券では退職金制度を廃止した。
→「退職金制度は奴隷装置だ」という思いがあった。
◎「給料をもらって、働く」のではない。「働いて、給料をもらう」という発想こそ、新時代にフィットする、
人間的で、気持ちのよい賃金体系だと私は思う。
◎ボブ・レシンの言葉
「21世紀、IT革命の時代にあって、まったく新しい経営者象が求められる。従来のビジネススクール型・経営者ではなく、
アーティストのように発想できる人物だ。アーティスト的才覚なくして、経営の舵取りは困難になる」と。
◆泥水 はつらつ 錦鯉
◎松井証券の総資産は7000億円。18年前は300億だったから23倍になった。株式委託売買金額については、
18年間で300倍近くになった。
◎すでに個人の株式売買取り扱い高では、業界リーダーである野村證券をはるか後方に追いやり、オンライン証券会社
としては抜群の収益率を持っている。
◎松井証券という組織が人間の集合である以上、どういうスタイル・個性の人々で構成されるかによって、
会社の性格が定まってくる。
◎企業経営は難しい。人材確保、戦闘集団としての組成は並たいていなことではできない。
単純に頭脳明晰、優秀な人間を広い集めてくればよい、というものではない。「異彩を放つ異才の群像」が
自由奔放に動き回れる舞台装置と革新的空気があって初めて、「かたち」ができあがる。
◆会社3年説
◎インターネットを通じて、多種多様の情報が取得できるようになると、顧客の選択肢は膨大に広がり、顧客による
「良いとこ取り」が始まるのだ。
◎供給者・消費者のパワーバランスが崩れた現実を冷徹に理解・認識し、個人のビューポイントで物事を見て、
自由奔放に動き回る消費者・顧客の動きに迅速・的確に対応できる仕組み、組織をつくっていかなければ
ならないのである。
◆三波春夫は生きている
◎顧客が集まっている場所に指を立て、「私はこういうことができます。こういう発想で、こういうコストを基に、
こういうプライスで、こういうサービスを行います。それは良い、と思う方は、この指に止まってください」
というビジネスである。
◎インターネットで取得できる情報が、もし営業マンの情報よりも価値があるとしたら、「営業マンの価値」とは
一体何なのだろうか。 物品の商品知識取得に関しても、つい少し前はインターネットではたかが知れていた。
しかし、今はそれを実際に使っている消費者の感想とか、評価などもインターネットで知ることができる。
これは店頭の「売らんかな」の思惑をもった店員からは決して取れない情報でもある。
◆松井商店への回帰
◎新時代のキーワードのひとつは「商人(アキンド)」だと思う。
◆頑張らなくてもよい方法を頑張って考える
◎顧客が望んでいない商売が、世に生き長らえるわけがない。そうであれば、顧客が心の底から欲する商売、顧客が喜ぶ
仕組みをつくり、すなわち「頑張らなくてもよい方法」を考え実行しなければならない。
◆アナログ仕事・人間の証明
◎結局のところ、人間が本腰を入れて真面目・真剣に取り組むべき仕事は、「人間心理学の世界」に収斂されてくる
のではないだろうか。上等な人間の心理は機械的な動きはしない。人間心理は、ちょっとした切り口の違いで
まったく逆方向に動いたりする。
◆リストラの本質は座忘
◆社長は株主の雇われマダム
◎GEジャック・ウェルチのコメント
「以前、社長と言えば、大きなヒエラルキーを一歩一歩上り詰めた末にようやく辿り着くゴールであった。
いわば”あがり”のポストであって、仕事は他社との接待ゴルフをこなす程度でこと足りた。だた、
いまは違う。社長というプロフェッショナルの領域ができあがりつつある。つまり、小さなベンチャーの社長として
成功した人物は、中規模の社長にヘッドハンティングされる。そして、そこで第二の成功を収めたら、
大企業経営とういチャレンジの機会が転がり込んでくるのだ」と。
◆最大のコストは社長の「頭の中」
◎社長の仕事とは何か。
以前から松井証券には注目していました。個人的にも口座を持っており、証券業界においてどんなチャレンジをしているか
についても理解しているつもりでした。
ただ、この本を読むことでその背景や考えが分かり、いっそう松井証券と松井社長へ興味が増しました。
松井社長の本は、他に数冊あるので読破したいと思います。
独特な語り口と誤解を恐れないストレートな表現がとっても魅力です。
本日は、この辺で。