『ワーキングプア いくら働いても報われない時代が来る (新書) 』門倉 貴史(著)
出版社: 宝島社 (2006/11/9) ASIN: 4796655336
目次
第1章 日本の労働者の4人に1人は生活保護水準で暮らしている(日本の労働者の4人に1人は「ワーキングプア」という悲惨さ
なぜ「ワーキングプア」が増えるのか? ほか)
第2章 働き盛りの中年家庭を襲う「ワーキングプア」の恐怖(『アメリカン・ビューティー』の主人公がもし生きていたら…
40万人にも上る中高年男性の「ワーキングプア」 ほか)
第3章 崩壊する日本型雇用システム(二人三脚で歩んできた終身雇用制度と年功序列賃金制度
なぜ終身雇用・年功序列制度は崩壊したのか? ほか)
第4章 非正社員で働く若者たち(深刻化する若年雇用の問題
正社員になれない若者が「ワーキングプア」に陥るリスク ほか)
第5章 「構造改革」による自由主義経済と民営化の果てに(聖域なき構造改革で得たものと失ったもの
非正社員から正社員への門戸を広く開放することが必要 ほか)
◆日本の労働者の4人に1人は「ワーキングプア」という悲惨さ
『「ワーキングプア」とは、汗水たらして一生懸命働いているのに、いつまでたっても生活保護水準
の暮らしから脱却できない人たちのことをさす。日本語の直訳では、「働く貧困層」とも呼ばれる。』
『 「ワーキングプア」が増えることの一番の問題は、一度「ワーキングプア」に陥ると、
構造的にその状況から脱却することが非常に難しいという点だ。
人生には、病気や事故など予期せぬさまざまなリスクがつきまとう。普通の人たちは、
こうした万一のリスクに備えて、所得の一部を貯金に回したり、各種の保険に加入したりする。
ところが、「ワーキングプア」に属する極端に所得水準が低い人たちは、こうしたリスクに
十分に備えることができない。』
◆会社の倒産やリストラで中高年男性が「ワーキングプア」に
『働き盛りの中高年層が、「ワーキングプア」に陥る典型的なケースは、会社が倒産してしまったり、
あるいは会社の雇用調整でリストラされ、やむを得ず別の会社に再就職したものの、新しい職場で
の賃金が極端に低く抑えられてしまうというものだ。』
◆抑えられない諸々の支出
『 突然、会社をリストラされ、再就職先の賃金が大きく下落しても、中高年層の「ワーキングウア」
は、消費支出を抑制することが難しい。
一般に、消費支出には「履歴効果」と呼ばれる効果が働く。これは、所得が下がっても、すぐには
それまでの豊かな生活水準を切り詰めることができないために、消費のほうが所得に遅れて下がって
くるというものだ。
「ワーキングプア」に陥った中高年層の家庭では、所得水準の低下幅が非常に大きいため、
消費の「履歴効果」がとくに強く表れる。
また所得の低下に合わせて消費支出を抑制しようとしても、中高年層の「ワーキングプア」の
家庭では、他の年齢層に比べて切り詰められない支出がたくさん残る。具体的には、子供の教育費
や、住宅ローンの返済などの支出である。』
◆「ワーキングプア」を苦にして自殺する中高年層
『 自殺者の大半は男性サラリーマンもしくは男性の無業者である。2005年の自殺者数は40~49歳が
5208人、50~59歳が7586人だ。40代・50代を合わせると1万2794人で、自殺者総数(3万2552人)の
約4割に達する。』
★非常に厳しい現実を突きつけられ、ちょっと、憂うつな気分になりました。
ただ、そういった世の中であり、その傾向が進むのは、間違いないようです。
本書の中では、非正社員から正社員への道すじを作ることが重要だと書いていました。
そういったことは、中小企業のほうが、柔軟に対応できそうです。
当然、勉強したり、スキルアップをしたりして、自助努力で、
働く価値を、常に高めていくのは、絶対的に必要だと思います。
進歩や変化の止まった会社が、衰退するように、
働く人、一人ひとりも、変化・向上することが、生き残る、唯一の術です。
その上で、
社会全体として、取り組むべき、課題であるように思います。
本日は、この辺で。