カーネギー,アンドリュー『カーネギー自伝 中公文庫BIBLIO』
目次
両親と幼年時代
故郷の生活とアメリカ
勇敢な母と私の就職
最初の図書館
電信局にて
鉄道に職を奉じて
ペンシルヴァニア鉄道会社の主任となる
南北戦争時代
橋をつくる
製鉄所
本社をニューヨークにおく
モルガン商会との取引き
鋼鉄時代
世界一周の旅
馬車の旅と結婚
製鉄所と働く人たち
ホームステッド工場のストライキ
労働の諸問題
『富の福音』
教育振興基金
平和のために
M・アーノルドと他の友人たち
英国の政治的指導者たち
グラッドストーンとモーレー
スペンサーと彼の弟子
政界の友達
ワシントンの外交
ヘイ国務長官とマッキンレー大統領
ドイツ皇帝に謁見する
『私の楽天的な性質と、困ったことに出会ってもそれにこだわらず、一生笑顔で
暮らすことができたのも、この愉快な祖父の性格を受けついだからであろう。
私の友人たちは「あひるをみんな白鳥にしてしまう」この楽天的な性格を
笑っている。私は祖父を自慢し、また彼の名をついだことを誇りとしている。
明るい性格は、財産よりももっと尊いものである。若い人たちは、性格という
ものは養成することができるし、人間の心も体と同様に、日陰から日光の照る
場所に移るべきであるということを憶えておいていただきたい。陽の当たる場所へ
出ようではないか。できるなら困ったことも笑いでふっ飛ばしてしまおう。・・・』
『・・ヘエーさんのところでの私の仕事は綿織工場のよりはたしかに前進であった。
たまに私は親切な雇い主と親しく接する機会をあたえられた。ヘエーさんは、
単式簿記法を使用していたので、私はそれを扱うことができた。しかし、大きな
商社はみな複式簿記を使っているときいて、私は同僚と話し合い、冬のうちに
夜学に通って、新しい簿記法を学ぼうと決心した。そこで私たち四名の少年は、
ピッツバーグ市のウィリアム先生という人の塾に通って、複式簿記を学んだ。』
『「いいんだよ、君、神さまはお前に味方して下さったのだ。
だがまたやってはいけないよ」』
『この営業方針が成功のほんとうの秘訣といってよい。もちろん、認められるまでは
相当の年月がかかるかもしれないが、それから後は順風に帆をあげて走るような
ものである。製作会社は、検査官をけむたがるかわりに、歓迎するべきである。
最高の標準に到達するのはそんなにむずかしいことではない。人間はそのような
努力で教えられ、鍛えられるのである。私は長い一生のうちに、よい正直な仕事を
しない会社が成功したのを見たことがない。そして当時の最も激しい競争のさなか
にあって、なんでも価格だけでものごとがきめられると思われがちであったが、
事業の上で成功する根本の原則はもっと重大な仕事の質にあると私は固く信じていた。
上は社長から下は最下級の工員にいたるまで、事業にたずさわっているひとりびとりが
質に全精力を集中しているということは、その事業にかけがえのないほど重大なの
である。したがって、この問題に関連して清潔でよい工場と機具、整頓された資材置場
と環境は、普通一般に考えられるよりも、もっと大切なのである。』
★数ある成功者の本の中でも、筋金入りのものです。
アメリカン・ドリームは、この人から始まったのではないかと思うぐらいです。
最終学歴は小学校、電報の配達人から、鉄道会社の事務員を経て、
自らの財閥を築いていくのです。
値段もお手頃なので、ぜひ、お薦めの1冊です。
本日は、この辺で。