『BBT ビジネス・セレクト2 「事例に学ぶ 経営と現場力」』
出版社: ゴマブックス (2006/10/24) ASIN: 4777105091

目次

 第1章 現場こそが価値を生み出すエンジン(企業の競争力は経営計画書や本社の会議室にあるのではない!
トヨタ、花王、キヤノンが業界トップに君臨する理由 ほか)
 第2章 「販売のトヨタウェイ」の海外展開―ゲスト 石坂芳男氏・トヨタ自動車株式会社相談役(北米での販売台数はすでに日本を抜いて約230万台
「トヨタウェイ」という指針 ほか)
 第3章 三菱FA事業の製販一体の現場力―ゲスト 亀田博氏・三菱電機株式会社顧問(日本のモノ作りを支えるFA事業
世界3強の一角を狙う三菱電機のFA事業 ほか)
 第4章 デルのビジネスモデルと現場力―ゲスト 平井孝志氏・株式会社ローランド・ベルガーパートナー(在庫を3日で回すデルのビジネスモデル
直接販売の循環が生んださまざまなメリット ほか)
 第5章 成熟企業における改革型SCMの展開―ゲスト 垣見祐二氏・中部電力株式会社執行役員エネルギー事業部長(アメリカの事例にならってSCMを導入
成熟企業の改革手法として有効なSCM ほか)

◆トヨタ、花王、キャノンが業界トップに君臨する理由

 『・・・その原動力の一つは社員による地道な改善活動である。ちなみに、トヨタの年間改善提案件数
  は約61万件。社員1人あたり平均すると、毎年7~8件の改善提案を出している計算になる。
  しかも、その改善提案実行率は91%にも及ぶのである。ゲンテイ額2300億円はすごい数字であるが、
  実はそれも現場の地道な改善活動の積み重ねの結果なのである。愚直に改善活動を続け、常に
  業務や仕組みを見直すことによって、利益を創ることのできる現場をトヨタは持っているのである。』

◆戦略で勝つのではなく、優れた現場力で勝つ!

 『 これらの企業に共通する「現場力」とは、一体何であろうか。現場力には欠くことのできない
  3つのポイントがある。
   1つ目は、「自分たちで問題を発見し、自分たちで解決しよう」という高い意欲と能力を持つ
  現場だということである。「言われたからやっている」「やらされているからやっている」
  というのではなく、自分たちがさまざまな問題を解決して、会社の業績を向上させるのだという、
  非常に高い自負と誇りを持っている。問題のない現場は存在しない。あのトヨタでも花王でも
  問題だらけである。そうした問題に対して、自分たちこそがその問題を発見して解決していく
  当事者なのだという意識をどこまで持てるか。それが1つ目のポイントである。』

◆オペレーショナル・エクセレンスのめざすところは

 『 現場力のめざすものは、「オペレーショナル・エクセレンス」である。聞きなれない言葉かも
  しれないが、オペレーショナル・エクセレンスとは、戦略やリーダーシップの卓越性ではなく、
  現場の持つ組織能力の卓越性で競争上の優位性を確立し、他社との差別化をめざす戦い方である。
   では、そのオペレーショナル・エクセレンスがめざすところとはいったいどんなものか。
  オペレーションは、ともすると企業の内部活動ととらえられがちである。しかし、企業活動の
  先には必ずお客様が存在する。重要なのは、「すべてはお客様のために」という基本精神を
  現場が常に忘れないことだ。独りよがりのことをやってもしようがない。お客様のために
  何が必要なのかを現場1人ひとりが考え、地道な改善、改良を積み重ねていくことが求められる。』

◆強い現場を持つ会社にみる共通項

 『 トヨタには、「トヨタウェイ」と呼ばれる共通の価値観がある。トヨタならではのものの
  考え方や理念、仕事のやり方、価値観などをまとめたものである。トヨタでは、これを全世界の
  社員に配り、教育するという地道な努力を続けている。さらに、「トヨタウェイ」は、
  生産だけではなく、販売や調達、経理といった各機能ごとにも分解され、トヨタならではの
  仕事のこだわりがより具体的に継承されている。』

◆「強い現場」の第二条件 脱・事なかれ主義

 『二つ目の条件は、仕事を実際に進めていくなかで、馴れ合いを排除するということである。
  別の言い方をすれば、「事なかれ主義から脱しよう」ということである。大企業になれば
  なるほど、部門の壁、組織の壁は高くなってくる。そうすると、部門を越えての活発な
  議論というものが阻害されてしまう。全体最適ではなく部分最適の集合体になってしまうのが、
  多くの共通問題である。
   私がこれまで見てきた「弱い現場」には、同じ兆候がある。「無視、無関心、無知」という
  三無主義である。一生懸命はやっているが、結果としてタコツボのなかでしか仕事をやっていない。
  当然大きな成果には結びつかない。
   その一方で、「強い現場」を持っている企業は、部門間でのぶつかり合いが非常に多い。
  それぞれの部門で意見が異なるのは当たり前、それを摺り合わせるのが仕事だという雰囲気がある。  部門間の意見の衝突を避けないで、ぶつかり合いながら、自分たちの問題点や考え方をさらけ
  出しながら、最適解を模索し、そこから学習していく。「健全な対立関係」の重要性をみなが
  理解し、その結果として全体最適が達成される。』

★トヨタ販売方式など、具体的な手法まではでてきませんが、
 初めて聞く言葉をたくさんありました。

 
 トヨタ自体は、マクドナルドやスターバックスよりもグローバル企業だそうです。
 その理由は、上の2社よりも、トヨタのほうが、多数の外国で販売しているからです。
 とりわけ、生産よりも、販売の方が、郷に入れば郷に従うで、その国の商慣習を理解して
 ようやく一歩が始まるほど、難しいとのことです。

 また、
 『「売る」ことではなく「販売のプロセス」にこだわる』
 という言葉も、とかく、結果を優先しがちな、営業の私からは、新鮮に感じました。

本日は、この辺で。

投稿者 himico-blog