『日本の社会戦略 世界の主役であり続けるために』稲盛 和夫・堺屋 太一(著)
出版社: PHP研究所 (2006/11/16) ISBN-13: 978-4569658056
目次
日本の未来は「選べる社会」
第1部 日本にしのびよる「滅亡の危機」(大局観なき構造改革
強化された官僚主導体制
骨抜きにされた日本の政治
「心を高める」ことを忘れた日本の教育)
第2部 世界から尊敬される経済大国へ(高付加価値型のものづくりへ
新しい資本主義の確立
企業人は国を支える誇りと自覚を
徳と富を備えた国家に)
世界から尊敬される日本へ
◆「命もいらず名もいらず、官位も金もいらぬ人」こそ真の改革者
『 命も名誉も財産も何もいらないというような人には困ったものだが、そのような人で
なければ、困難を分かち合い、国家的な大きな仕事をすることはできないということを
説いています。
そのように、自己の利益や自己の保身をいっさい前提としない、まったくの
「無私の精神」に基づいた政治家の出現がいまこそ望まれます。そのような境地に立ってこそ、
真の改革を果たすことができるのでしょう。』
◆「官僚は偉い」のままでは、名ばかりの改革に終わる
『 現代でいうと、官僚をトップとするヒエラルキーがあって、「官僚がいちばん偉い」と
みんなが思っているあいだはダメなのです。官僚はあくまでも「公僕」で、専門知識は
あるので案を出す、けれども決定権はもってはいけない。このことを政治家もマスコミも
国民も、はっきりと認識しなければならない。』
◆官僚主導の改革が政治から力を奪っている
『 日本も似たような状況が始まっている。この数年、生活保護世帯数が急増しているのは
危険な兆候です。「真面目に働かなくても、困ったときには生活保護で生きていける」などと
いう若者さえ現われている。いま政治が強い意思をもって改革しなければ、大変な状態に
なってしまいます。』
◆付加価値の高い製品に特化せよ
◎団塊の世代が再び活躍できる場をつくる
◆自然界のご法度を破る外資系ファンド
◎会社の存続より株主の利益を優先するファンド
『・・そこに自然の摂理に基づく節度が存在するのですが、現在の外資系ファンドの暴れ方を
見ていると、「この会社は自分たちのものだから、どう食おうと自由だ」といって、
草食動物を食べ尽くそうとしているかのようにさえ見えます。
環境問題の原因を、「人類が勝手な生き方をして環境をさんざん破壊した挙げ句、
そのしっぺ返しを受けている」と定義できるように、現在の資本主義の変質も人間が
利己的な欲望のおもむくままに行動し、その報いを受けつつあるといえるのではないでしょうか。』
★楽しい対談です。
歴史認識や、日本の現状分析を、鋭く語っています。
思わず、夢中になって、駅を乗り過ごすほど、面白かったです。
本日は、この辺で。