『強い会社を作る人事賃金制度改革―成果主義の失敗から学ぶ人事制度改革成功の法則』大津 章敬 (著)
出版社: 日本法令 (2005/01) ASIN: 4539719246
目次
第1章 なぜ成果主義はうまくいかないのか
第2章 賃金制度改革
第3章 賞与制度改革
第4章 退職金制度改革
第5章 強い会社を作る人事評価制度
第6章 サンプル規程集
◆そもそも成果主義とは何であったのだろうか
『・・むしろ今のままで、ゆったりした生活をしたいというニーズのほうが強くなっている。こうし
た環境においては、社員の鼻先に数本のニンジンをぶら下げたところで意味はない。もしこうした
「馬ニンジン方式」で社員を走らせようと思うのであれば、最低でも年収に3倍くらいの格差は
必要であろう。普通にまじめにコツコツ働いている場合には年収500万円、非常に大きな成果を
挙げた場合は1,500万というくらいの格差があれば、その高報酬を目指して頑張る社員が出て来る
かも知れない。
しかし、こういった外的要因に連られて頑張ることができるのはせいぜい2~3年であり、
この短い期間に最大の成果を挙げさせることを期待し、その後は人材が入れ替わっても構わない
という人材戦略を採っている会社でなければ、こういった制度を導入することは難しい。
通常、多くの会社では基本的に社員の定着を望み、中長期的な能力の向上と役割の拡大を期待
しているため、こういった短期で人材を循環させるような手法は大多数の普通の企業にはそもそも
合わないであろう。』
◆なぜ成果主義はうまくいかなのか
『 成果主義の定義はなかなか難しいが、「個人の業績=成果の評価を適切に行い、その成果に
応じて給料を決めるという人事処遇制度」という狭義の定義には問題がある。あえていえば、
「曽木を成果志向に変革し、激変する経営環境の中で企業を継続・発展させるための経営施策」
と非常に広く捉えることが必要ではなかろうか。』
◆人件費削減を目的とした成果主義は社員の不満を高めるだけ
『・・現実には社員のやる気を引き出そうとするような前向きな人事制度改革ではなく、成果主義
という都合の良いキーワードを掲げ、人件費削減やリストラを進める口実に使った企業が少なく
ない。
人件費を削減する際には、単純な一律賃下げよりも「やればやっただけ」という仕組みのほうが
説得力があるため、成果主義がうまく利用されたといったところであろう。こうした企業は
成果主義と言っておきながらも、当社における成果とは何か、貢献度とは何かという基本的な
議論を明確にしないままに、社員に数値目標の達成を押し付けるような賃金制度改革を進めている。
これは社員の不満を煽るだけで、うまく機能するはずがない。』
★この本では、基本給与の体系から、各種手当てをどうするべきか、
賞与の枠組み、さらには、退職金制度の設計まで、
幅広く、人事・賃金制度についての、成功法則が書かれています。
名古屋の名門、名南経営センターの社会保険労務士さんのものです。
中小企業で、賃金体系に悩まれている方には、ぴったりの1冊です。
本日は、この辺で。