『実践メンタル強化法―ゾーンへの招待』白石 豊(著)
出版社: 大修館書店 (1997/09) ISBN-10: 4469263788
目次
第1章 私のメンタルトレーニング小史
第2章 メンタルトレーニングの概要
第3章 スポーツ選手の精神的能力とその養成法
第4章 メンタルトレーニングの実際
メンタルトレーニングの実例
◆自立訓練法を利用したイメージトレーニング
『 一般に子どもたちや選手のやる気というものは、練習を重ねて何かができたときの嬉しさが、その原動力に
なっている。やる気はあるがもの覚えの悪い私のような子どもにとっては、「ああしろ、こうしろ。ここが悪い、
あそこを直せ」といった指導ではなく、できるまで気長に見守ってくださった高畠先生のやり方には、
今もって感謝の念でいっぱいである。』
◆わがヨーガ修行記
『 ヨーガについてのそうした無知さとあいまって、佐保田先生の本の書名が「ヨーガ禅道話」となっていた
ことにも違和感を覚えたのである。「日本の禅と(こういう発想そのものが貧困で誤っているのだが)
インドのヨーガがどうしていっしょくたになっているんだろう。変な題名の本だなあ。いったいどんなことが
書いてあるんだろう」と思いながらふと手にしたのだから、人生なにが幸いするかわからない。
この時、私がこの本を手にしていなかったら、とても今のようにいろいろな種目の一流選手たちを相手に、
メンタルトレーニングの指導などできなかったはずである。私にとっては、まさにターニングポイントとも
いうべき事件であった。』
『 スポーツでも勉強でもたいしたことのなかった私だが、一つだけ取り柄らしいものは思い立ったらすぐに
行動できる人間ということになる。もちろんこの積極的というのも言葉を換えれば、単に図々しいということに
すぎないのだが、この時も、その積極的な心がすぐに動き出した。』
◆スポーツ選手の精神的能力の評価と分析
『 私はかつて現象学的立場に立った精神医学の先生方の講義を何度となく受けることで、おおいに啓発された
経験がある。中でも、オランダのヴァン・デン・ベルグ教授と故荻野恒一教授が異口同音に言われた
「私は精神科医として現象学的方法で精神病者と接しているうちに、次第に生き方そのものが現象学的に
なっていった(つまり、あるがままに物事を見るようになった)ことをうれしく思う」という言葉には、
身が震えるような感動を覚えたものであった。すなわち、選手を見る際にには、まずもって「先入観の色眼鏡」
を捨てて見よというのである。』
◆自信についての誤解
『 自信をもって試合にのぞむことができればというのは、スポーツ選手なら誰もが願うことである。つまり
自信は、スポーツ選手の持つべき精神的能力のうちでも、もっとも重要な要素といってもよい。しかし、
自信について誤った考え方をしている指導者や選手が意外にも多いのもまた事実である。
つまり、自信の大きさはそれまでの実績に比例するという考え方である。確かに過去の成績がすばらしい
選手は自信にあふれているように見える。しかし、過去に実績がなければ本当に自信は持てないのだろうか。
答えは「ノー」である。メンタルトレーニングの面から言えば、試合に勝ったから自信がついたのではなく、
何ならかの手だてによって、試合にのぞむ前にあらかじめ自信をつけ、その結果として、勝利を得る可能性を
少しでも高めるというのが正しい。』
★副題にもあるように、ゾーンへ入るためのメンタルトレーニングについて書かれた本です。
長期的な方法から、
準備期間のない場合の、即効性のあるテクニックまで、
すぐ実践で使えそうです。
選手時代の自分が、この本と出合えていれば、
今頃、Jリーガーとして活躍していたかもしれません(笑)。
ビジネスマンでも、当然、緊張する場面や、
プレッシャーのかかる面接など、あるわけで、
非常に役立つ1冊です。
ちょう、お勧めの、良本です。
本日は、この辺で。