『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』城 繁幸(著)
出版社: 光文社 (2004/7/23) ISBN-13: 978-4334933395
目次
1 急降下した業績
2 社員はこうして「やる気」を失った
3 社内総無責任体制
4 「成果主義」と企業文化
5 人事部の暗部
6 日本型「成果主義」の確立へ
『・・しかし、さらに富士通のイメージを傷つけたのは、なんと当時の社長・秋草直行氏の
発言だった。
「くだらない質問だ。従業員が働かないからいけない。毎年、事業計画をたて、そのとおりに
やりますといって、やらないからおかしなことになる。計画を達成できなければビジネスユニット
を替えればよい。それが成果主義というものだ」
就任以来毎年のようにくり返してきた決算下方修正に対する経営責任について質問された
秋草社長は、こう言ってのけたのである。この、ほとんど田舎の同族経営建設業の2代目社長が、
信金の担当者にでも言いそうなセリフのおかげで、富士通とこの社長の名前は一躍有名になり、
社外に対しても富士通の深刻な内部混乱ぶりをくっきりと浮き彫りにしてしまった。・・』
◆「転職市場」までつくりだした制度改革
『 それまでの大手電機各社では、採用担当者が毎年定例会議を開き、今後の採用計画などについて
情報交換しつつ、ある協定を遵守することを確認しあっていた。その協定とは、「同じ電機大手の
なかからは従業員を引き抜かない」という、一種のカルテルめいた取り決めだった。
これは、言うまでもなく、年功的組織を各社が維持するためのものだった。その会議で、
富士通が突然、協定の実質的破棄を宣言したのだから、各社は驚いた。』
◆「成果主義」の中核は「目標管理制度」
①部門ごとの目標作成と個人へのブレイクダウン
②評価結果の賞与額および昇給額への反映
③裁量労働制の導入
◆給料格差がさらに「やる気」を引き出す
◆社内中が「ドングリの背比べ」
『 上司との面談時に「明らかな失敗」さえなければ、普通に目標達成と認めてもらえる。当然、
誰もが失敗の可能性の少ない、あるいはすぐにでも達成できる目標を選ぶ。やりがいがあるが
達成が難しい目標などは選ばない。』
◆無気力化する中高年
◆「経理は地獄」と告白した元社員
『・・予算なんて、まず本社から各経理部門に部門ごとの目標数字がくる。それがどこから
引っ張ってきたのか、達成なんて絶対無理な数字。あとはそれを各事業本部に割り振るわけ
ですが、常識的に考えれば、普通は逆の流れで数字を決めるべきです・・』
★今、「若者はなぜ3年で辞めるのか?」が売れている、城繁幸氏の第一作です。
天外さんの講演CDの中で、「作者の主張はともかく、成果主義の実態をよく描いている」との話だった
ので、早速読んでみました。
アマゾンでも評価のなかに、賛否両論あります。
一ついえるのは、原文を英語で書いたのか?と思うぐらいに、チャンポンな英単語が混じった
文章なので、非常に読みづらいです。まぁ、日常会話では、それぐらい英単語が入ってきますけど。
それと、
『お金より名誉のモチベーション論』の太田氏もそうだったんですが(城氏はもっと過激)、
体育会系の就職採用及びその人材について、かなり低い評価を書いているんです。
個人的に、大学で体育会をやっていたわけではないんですが、
そういったタイプの人が、実社会では大勢活躍しているにも関わらず、
「盲目的に、耐え忍ぶとか」書かれていると、どうしても反感を持ってしまいます(笑)。
本日は、この辺で。
編集後記
休みのパパは、どこでも大変だと思います。
最近は、昼寝するには、ムスメの許可がいります(苦笑)。
「パパは、昼寝ばっかりして、ズルイ!!」
何が、ズルイのか良くわかりませんが、
とりあえず、パパに文句を言う時は、この言葉を使います。
外は、寒いし、一度出ると、時間が長いし。
まぁ、一緒に遊んでいられるのも、今のうちだけと思って、
楽しむしかありませんね(笑)。