やっぱり損益分岐点が大事?
協和発酵工業(株)著「人事屋が書いた経理の本」ソーテック社、¥1165-
目次
第1章 財務会計の眼
第2章 採算の眼
第3章 採算戦略の眼
第4章 B/Sの眼
第5章 B/S戦略の眼
第6章 資金繰りの眼
第7章 マトリックス会計の眼
◆経理を勉強する方法を変えよう
◎誰もが一度は経理を勉強しようと思うが、経理アレルギーにおちいってしまう。
◎ここでは、専門家の本からスタートする代わりに、自ら体験(ゲーム)することから始めよう
◆会計はこうして生まれた
古代・中世の簿記 ・・・ 倉庫会計
ベニス式簿記 ・・・ 商業簿記(一航海一期)
近代会計 ・・・ 期間計算、原価計算、外部報告
◆会計とはお風呂である
◆会計とは花嫁学校である
◆戦略会計とは何か?
①経理アレルギーを除去する(わかりやすい)会計
②マクロな(森を見る)会計
③ハイレベルの会計
④戦略に役立つ会計
◆損益分岐点(Break Even Point)とは何か
◎損益分岐点は、単に収益と費用がトントンになる点だとしてその公式を暗記するのでは使えない。
損益分岐点の本質は、売上の増減に対する費用の動き方の観察からスタートし、売上が0のときまるまる赤字となる
費用すなわち固定費を、付加価値の総額を上げることによって回収していこうとする固定費回収戦力である。
単なる費用対収益でなく、固定費対付加価値の動きを見る眼を”採算の眼”と呼ぶ。
◆売上0のときまるまる赤字となるもの
◎総費用は、次の2種類の費用から成り立っている
①変動費 ・・・ 売上量Qに比例して動く費用である。製造業であれば、原材料が代表的。売ればそれに比例して当然でていく
費用、通常これ以下で売ることは考えられない費用が変動費だ。
②固定費 ・・・ 売上量に比例しない費用。売上げようと売上げまいと、それに関係なく発生する費用である。
固定費はこれを回収しない限り赤字となる費用である。言葉を変えれば、採算とは固定費回収作戦である。
◆固定費のつかみ方
◎総費用 - 変動費 = 固定費
◆戦略会計(STRAC)の7つの道具
①P 平均単価 (Price)
②VP 変動単価
③MP 付加価値単価
④Q 売上個数
⑤PQ 売上
⑥VPQ 変動費
⑦MPQ 付加価値
⑧F 固定費
⑨G 利益
◎Mはマージン率のM(marginal ratio)で「付加価値率」を表す
◎例えば、売上の場合 P × Q で平均単価×売上個数で計算される
◆売上をなぜPQと表すか
◎売上を上げようという目標にたいして、戦略が立てやすい
①単価アップ、数量アップ
②単価維持、数量アップ
③単価アップ、数量維持
幾通りのも戦略として対策が現れてくる。
◆損益分岐点とは何か(戦略の眼)
◎損益分岐点の本質は、
付加価値が固定費Fと等しくなる(つまり利益G=0)のことである。
◎期が始まったばかりのときは、まだQ(売上個数)が小さく、MPQ(付加価値)がF(固定費)に達していないので、
未回収分が赤字である。それがだんだんとMPQが増加して、Fに達した時点-この点が損益分岐点である。
MPQ = F
◆「損益分岐点」というコトバの使われ方
戦略会計では「損益分岐台数」の活用をおすすめする。さらに「損益分岐点比率」である「売上必要倍率」である
◆売上必要倍率(B.E.P比率)
F
───
MPQ
◆共通語
社員は自分の会社について、数字的に理解できなくてはならないし、発表される貸借対照表や損益計算書が読めねば、
地図の読み方を知らないで登山するようなもので、不自由である。 -中略ー
さて我々は、このMGを通じて、社内に”共通言語”を持ってもらおうと、ねらっている。借金を減らし、金利負担を
減らす為に在庫管理が大切なのだということを、また、売上債権のサイトを10日でも短縮すれば、それだけ
利益につながるのだということを、取引先のB/Sを見て取引を拡大するかどうか判断するということを体で
分かってもらいたいと思う。それぞれの職務にある者が、ハイレベルの管理会計について、
”お互いに響きあうような共通語”を持つことによって、経営の効率化を図ることも可能になるものと期待している。
★協和発酵工業でのGDI社開発のマネジメント・ゲーム(MG)を導入するにあたり、同社教育課が作ったマニュアルを
ベースに書かれた本です。その為にMGを実践していることが前提となっています。
実際の本では、これまでが約3分の1であり、そのご経営分析とマトリックス会計について、
現場の経理外の社員が実務にすぐ使えるような内容が豊富にあります。是非、お勧めの1冊です。
この本は、経理本オタクの私としては、食わず嫌いの1冊でした。大きな本屋で、何度も目にしたことがありながら、
今まで一度も手にしたことがありませんでした。タイトルで敬遠してました。
今回、西さんとメネジメント・ゲームがキーワードとなり、実際に読んでみて、素晴らしい本だと思いました。
是非、また読み返したい1冊です。
本日は、この辺で。