『吉本興業の正体 (単行本) 』増田 晶文

書評

『吉本興業の正体 (単行本) 』増田 晶文(著)
出版社: 草思社 (2007/4/7) ISBN-10: 4794215835

目次

 プロローグ 放牧場
 第一章 変容
 第二章 正之助
 第三章 黄金時代
 第四章 テレビの時代
 第五章 全国区
 第六章 ケッタイな会社
 エピローグ 笑いのウイルス

◆若手たちの廊下

 『 ルミネに来ていつも驚かされるのは彼ら若手たちの慇懃さ、礼儀正しさだ。吉本の社員は
  もちろん劇場のスタッフでもない私なんぞに、どうしてこれほど丁寧な態度で接するのだろ
  う──手近にいた男の子に質問してみたら屈託のない笑顔で答えてくれた。
  「ハイ、吉本のかたから、とりあえず楽屋で人と会ったら元気に挨拶するようにいわれている
  んです。ちょっとしたらテレビ局のディレクターが取材やスカウトに来ているかもしれません
  からね。大きな声で挨拶するのはタダだし好印象を与えるからって」』

 『「芸なんて自分でつくっていくものじゃないですか。何がオモロイかはその芸人が自分で見つけ、
  完結させることなんです。これは吉本が不親切というより、彼らが自分で考え、気づかないと
  いけないことなんです。なかには、どうでしたか? とステージの出来を聞いてくる子はいます。
  そういうときは素直に感想をいうだけです。だけどウチの芸人に、どないしたらオモロクなる
  でしょう? と質問するのはいません。僕も、それを聞くようでは芸人をやっている資格がない
  と思います。」
  藤原はルミネを放牧場にたとえてみせた。
  「この放牧場は広いうえに、ものすごく柵が低いです。極端なことをいえば、どんな馬でも
  入ってくることができます。自由に草を食べてもいいし、駆け回ってもいいんです。芸人が
  大きくなる方法は芸人の数だけあって、これぞという正解はないと思います。だから僕らは
  育てるというより、育っていく姿を見ることになります。僕らが気をつけているのは、若手から
  オモロイ匂いが出ているかどうかですね。そういう空気を漂わせているかどうかをチェックし
  ているんです。ルミネという牧場を見回って、おっ、あんなところに速そうな馬がおるやない
  かとピックアップしていくんです」
   吉本はこれから世に出ようという芸人に対して差別しないし贔屓もしない。放任の姿勢を
  貫き努めて平等に扱う。だが、そこに輝くものを見つけたときから事情が異なってくる──』

◆コンテンツビジネス

 『 これまで、映像コンテンツはテレビ局や映画会社のものであって、吉本とて二次的な利用権を
  全面的に主張することはできないとされてきた。だがすでに吉本は、一部のテレビ局で放映され
  てる番組からその障壁を取り除くことに成功している。中多は、吉本がコンテンツビジネスに
  邁進する際の、ひとつのモデルを示した。
  「アメリカにCAAという会社があるんです。CAAは基本的に芸能プロダクションです。でも俳優や
  監督、作家、脚本家といった映画作りに欠かせないスタッフを多数抱え、やがて映画制作に
  乗り出して成功を収めました」
   CAAの手法は「パッケージディール」と呼ばれる。スターを一人だけ売り込むのではなく、
  監督から脚本家、脇役まで全部自社と契約している面々で固めてしまうという手法だ。ちなみに
  CAAのリストには、スティーブン・スピルバーグやロバート・デ・ニーロ、トム・ハンクス、
  トム・クルーズらが名を連ねていたという。・・・』

◆マネージャーたちの恐るべきパワー

 『「吉本さんの凄いところはタレントの層の厚さより、むしろマネージャーさんたちのパワー
  ですね。彼らはタレントを、トータルなビジョンを持って売り込んできます。局にお任せしま
  す、お仕事下さいなんて絶対にいわない。どうやって売り出すか、どんな企画がいいか、この
  番組をステップに次はどう展開するか。本来ならテレビ局側の領域にもどんどん足を踏み込んで
  くる」・・・』

◆統制のとれていない組織

 『 さらに川島が驚いたのは、吉本の面々がカネにきれいだったことだ。仕事が終了すれば、
  報告書や経費精算書には非の打ち所のない数字が並んでいたという。なあなあで、自分の
  財布も経費も同じということはなかった。
   広告のソフトづくりで広告代理店の力を借りようとしたときも、「あんなやつらに頼る必要
  ありません。アイディアも制作も全部僕らでこなせますやん」と一蹴したのは吉本のスタッフ
  だった。電通や博報堂といった大手の代理店の提案を、ありがたがって拝聴するのではなく、
  あれやこれやと意見を述べ、やり直しを命じていた。そこに大手代理店を盲信、崇拝する気配は
  微塵もない。』

★398ページで、けっこうな、大作です。
 わたしは、ビジネスの部分に目的を絞って、フォトリーディングしました。

 笑いの歴史という読み方をすると、
 また、違った面白さがあるのか、しれません。

 いずれにせよ、
 コンテンツビジネスに対する、活動では、日本の先端をいっていそうで、要注目です。

本日は、この辺で。

編集後記

一日2冊読破体制になって、

本のストックという意味では、心に、ゆとりができました。

ただ、記事を書く手間は一緒なので、

アップアップは変わりません。

新たな、策を、考えたいと思います。