僕の母親は、

トヨタが新しく富士山の裾野に作る、

ウーブン・シティの話をNHKのニュースで知り、電話してきた。

「私が将来、引退したら、この「ウーブン・シティ」に引越そうかと思う。」

(僕の現在の住まいがこの近くです)

と言いました。

そこで、僕は、

「予約受付が始まったら、一部屋を申し込むね。」

と答えました。

内心、

80歳目前の母が、引退するのは、いつのことなんだろう??、

しかも、そんな高齢者を最先端の街が受けいれてくれることもないだろうと思いつつ。

 

目次

  1. 米国テスラの時価総額が実質世界一のトヨタ越え
  2. グーグルの自動運転が世界一
  3. インホイールモーターなど新たな技術開発が自動車業界を変える
  4. トヨタの従来の強みが、不良資産になりかねない
  5. トヨタが富士山の裾野につくる、「ウーブン・シティ」が起死回生の切り札

 

1、米国テスラの時価総額が実質世界一のトヨタ越え

 

2020年7月1日はある意味、トヨタの敗北記念日かもしれない。

ついに、米国の電気自動車メーカー、テスラの時価総額がトヨタを抜いた日となった。

 

2019年トヨタの世界販売台数は、僅差で世界2位だが、

トヨタがその気になれば、グループ会社のスバルの株式を買い増すことで、

ダイハツ、日野自動車と合わせて、

VW(独フォルクスワーゲン)を抜いて、

いつでも世界一の販売台数となることができる。

その実質的世界一のトヨタがテスラに負けた。

 

テスラが今回、自動車業界の時価総額トップになった背景は、

新型コロナウィルスによる、自動車需要の冷え込みで、

自動車業界全体の株価が下がったことにある。

 

しかし、もはや、自動車業界とひとくくりでなく、

自動車業界と、電気自動車業界に分類されるようになるかもしれない。

 

トヨタは、PHV(プラグインハイブリッド)のRAV4を新発売して、

生産が追いつかず、一時、受注停止というヒットを飛ばしていると

報道がされている。

 

けれども、こうした今までの古い販売手法、

ちょっと出来レース的な煽り商法。

例えば、マンション販売における第×次販売、即時完売みたいな、

販売会社が、自らの商品の売れ行きを演出する、やり方が通用していない可能背がある。

 

米国テスラは、

販売手法も、従来の自動車産業の延長線上から抜け出して、

新しい、電気自動車のネット販売に切り替えた。

 

2、グーグルの自動運転が世界一

最近、スマホの5Gが話題になっている。

まだ、東京などの一部エリアだけのサービスとなっていますが、

実は、5Gと自動運転技術には深い関係がある。

 

自動運転するためには、リアルタイムでユーチューブ動画を見るか、それ以上の、

大量のデータを、常に車が、サーバーから受け取る必要がある。

今の通信環境だと、ちょいちょい、動画の音声が少し遅れたり、

ときには、動画が止まったりする。

動画を見ている分には、それほど支障がないが、

自動運転となると、そういうわけには、いかない。

 

というも、

データが数秒間届かなかっただけでも、

高速道路で時速100キロで走行中の車は、

3秒の間に車は90メートル進む。

 

もし、デー型が3秒途切れて走行している間に、

その先に故障車がいたとしたら、

自動ブレーキが遅れてしまい、大事故につながってしまうかもしれない。

 

そんな時に、5Gのデータの「大容量」と「低遅延」(データが遅れずにリアルタイムにm流れる)という性能が、

自動運転技術には、非常に役に立つ。

 

この自動運転技術を、トヨタも、もちろん開発しているが、

現時点で、自動運転技術の世界一と言われるのは、グーグルだ。

 

グーグルの第5世代の自動運転システムでは、車載のコンピュータが小さくなった。

今まで、トランクルームいっぱいだったものが、トランクの床下に収まった。

 

さらに、全天候型で、安全性を高めるために、カメラ・レーダー等の能力アップで、

車、人間や障害物を発見する能力が引き上げられた。

 

そして、米国には、グーグルの他のも、

たくさんの企業が自動運転車を開発している。

中には、最先端で高額な自動運転技術でなく、

安く、DIYで、今乗っている車に取り付けられる、

自動運転キットを開発している人物がいる。

 

Comma.ai創業者のジョージ・ホルツ(George Hotz)氏だ。

元ハッカーの彼は、2015年9月に自動運転キットを開発したが、

無許可で自動運転をテストしたことで当局に摘発された。

 

現在は、1,000ドルで自動運転キットOpenPilotを米国で販売している。

路上カメラや、GPS、慣性測定ユニット、温度センサーなどを搭載している。

日本では、日本の道交法や、車検の問題で、おそらく使えないと思います。

 

しかし、ベンチャー企業が、11万円程度で、自動運転キットを販売しているというのは、

凄いことです。

これが、あれば、高齢者が引き起こす、運転ミスによる悲劇的な事故が防げるかもしれない。

 

注目すべきは、自動運転技術は、もはや車というハードウェアよりも、

コンピュータ、さらに、ソフトウェア開発が主流であり、

既存の技術を使って、新興企業が低価格のシステムを作れる段階まで来ていることだ。

 

3、インホイールモーターなど新たな技術開発が自動車業界を変える

車の構造を簡単に説明すると、

ボンネットを開けると、エンジンがあります。

このエンジンが動力を生み出して、主に、前のふたつのタイヤに、

その動力を伝えて、車を動かします。

 

さらに、

乗り心地を良くするために、サスペンションだったり、

スピードをあげるために、オートマミッションだったり、

安全のためのブレーキがついています。

 

こうした具合に、1台の自動車には、4,000種類で、2万個以上の部品で構成されています。

そのために、自動車業界は、裾野が広くて、たくさんの会社があり、

おおくの雇用を産んでいると言われています。

 

しかし、

これが、電気自動車となると、非常にシンプルな構成となって、

今のガソリン自動車の3分の1、2分1くらい部品の数が減ります。

 

さらに、同じ電気自動車でも、次にでてくる、インホイールモーターの電気自動車となると、

さらにさらに、部品の数が減ります。

 

インホイールモーターというのは、

タイヤの真ん中にあるホイールに、駆動用のモーターが入ります。

車にはタイヤが4個あるので、駆動用のモーターが1台の車に、

4個つくわけです。

 

これは、もう画期的で、

このモーターが、ブレーキも兼ねると、

車のボディ本体には、ほとんどパーツがなくなります。

 

バッテリーがあって、

ハンドルと、コンピュータが入っているだけで、

スカスカ。

 

こうなってくると、

テスラのような、新規参入する会社が自動車業界にどんどん入ってきます。

デザインと、ソフトウェア開発が得意な会社が、

インホイールモーターの電気自動車づくりに参入するのにためらいは不要だ。

 

こうなってくると、

トヨタの敵は、無限に増えてくる。

しかもそれは、

先進国だけでなく、東南アジア、果てはアフリカからも、

グローバルにライバルが出現してきます。

 

4、トヨタの従来の強みが、不良資産になりかねない

最近、地方の親の家「不動産」が、

負の資産を意味する、「負動産」と呼ばれています。

 

トヨタも、

今までの生産体制、販売網、あらゆる資産が、同様に、不良資産となりかねません。

 

ぼくは、

大のトヨタ好きで、今まで何台も乗り継いできました。

たくさんのお金をトヨタの新車につぎ込んできました。

少しでも安く買おうと、「月間 自家用車」という雑誌で、

車の買い方を研究しました。

 

3月の決算時期に安く買える。

さらに、買う場所は、たくさんの販売店を競争させる「相見積もり」が良い。

そこで、なんと僕は、静岡県、神奈川県、東京都、千葉県から

それぞれ2店舗、合計8店舗からヴェルファイアという車の見積もりをとった経験があります。

 

結果安く買えたのですが、その移動の費用と労力を考えたら、

割に合ったのかどうかわかりません。

今だったら、多少、高くついても、ネットで新車を購入したいと思います。

 

そして、これを実践しているのが、

さいほどの、米テスラです。

 

しかも、社長のイーロン・マスクはやると決めたら徹底的にやります。

オンライン販売へ全面的に移行するために、米国に130ある販売店の閉鎖するという。

当然、リストラも実行する。

 

ネットで上で、オプションなどを選んで、見積りをして、

最後は、カード決済となる。

まあ、今でも、日本の自動車メーカーは、概算見積りまでしているので、

たいした違いはないと思います。

 

しかし、これは、新興企業のテスラだからできたのです。

トヨタは、日本だけで、6,000店舗ある。

北米、米国とカナダで販売会社1,750社強となっています。

これをなくす、合意をとって、人員をリストラとなると、

2〜3年の意思決定ではできません。

 

そして、販売体制以上に、生産体制があります。

 

さきほど説明した、

ガソリン自動車から電気自動車への変化で、

部品点数が減ると、部品工場や関連産業が売上がなくなり、人も不要になる。

 

開発や、金型、部品の製造、その物流、たくさんの仕事がなくなります。

実際には、

アメリカのデトロイトは、日本車の攻勢に負けて、

たくさんの雇用がなくなり、錆びついた街となってしまった。

 

日本のトヨタや、他の自動車メーカーにも同じことがおきても不思議ではない。

日本で1,000万台近い車を清算して、約その半分を世界に輸出している。

これが、半分になったり、3分の1になったら、どうなるのか?

悲観的に考えると、EVになってさらに台数も半減になると、

今の雇用の15%、7分の1になってもおかしくない。

 

その過程で、トヨタは、圧倒的な余剰人員や採算設備を抱えることになる。

そして、

こうした未来が来る可能性が高いとして、

実際に売り上げが減少したり、利益がなくなって赤字になってりする前に、

工場を閉鎖したり、人員をリストラする合意をとることは難しい。

 

5、トヨタが富士山の裾野につくる、「ウーブン・シティ」が起死回生の切り札

トヨタの危機について、

これまで説明したきましたが、トヨタもそれに指をくわえてみているだけでは決してありません。

この起死回生の切り札が、静岡県裾野市に建設中の「ウーブン・シティ」だ。

 

トヨタの豊田章男社長は、未来の実証・実験都市をゼロから作る。

日本のある工場を閉鎖しないといけなくなった時に、

富士山のふもとにある工場の跡地で何をすべきだろうと考え、

彼なりの、夢の野球場(「フィールド・オブ・ドリームス」ケビン・コスナーが主演した映画)を作ることに決めた。

そしてそれは、

映画「チャーリーとチョコレート工場」に出てくる秘密のチョコレート工場になるかもしれない。

 

 

僕の母親は、

ウーブン・シティの話をNHKのニュースで知り、

「私が将来、引退したら、この「ウーブン・シティ」に引越そうかと思う。」

(僕の現在の住まいがこの近くです)

と言いました。

そこで、僕は、

「予約受付が始まったら、一部屋を申し込むね。」

と答えました。

 

内心、

80歳目前の母が、引退するのは、いつのことなんだろう??、

しかも、そんな高齢者を最先端の街が受けいれてくれることもないだろうと思いつつ。

 

ところがどうでしょう!

母が正しかった!

彼の構想は、こうでした。

日本の東富士にある175エーカーの土地に、

人々が実際に住んで、働いて、遊んで、そんな生活を送りながら実証に参加する街を作る。

 

 

当初のWoven Cityの住人は、約2,000名。

まずは、トヨタの従業員と家族、退職したご夫婦、小売店舗、

プロジェクトに参画する科学者、各業界のパートナー企業などを想定している。

でも、あらゆる環境を試すためには、

当然、これからの日本では、高齢者がそこに暮らして、

実証実験に参加することも重要でしょう。

 

しかも、その大きなテーマのひとつが、新しい道路環境だというのです。

 

今日の道路は、様々なものが混在していたり、何もなかったりと、ごちゃごちゃとしています。

 

そこで、まず、典型的な道を3つの異なるモビリティの種類で分けることから始めました。

 

一つ目は、スピードが速いモビリティ用の道です。すべての車両が自動運転で、

ゼロエミッション車両です。道に植えられた木々により、人々と車両のエリアが区分けされます。

 

二つ目は、歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティが共存するプロムナードです。

 

三つ目は、歩道がある縦長の公園のような道です。

街のあるところから違うところまで、公園の中だけを通って歩いて行けるのです。

 

これら3種類の道路は、3×3の街のブロックとなり、それぞれで公園や中庭が形作られます。

 

このように道を分けることは、より静かな住環境を作り上げるだけでなく、

トヨタによる自動運転とスマートシティのインフラの実証を加速させるべく、

人間、動物、車両、ロボットなど様々なユーザーが行き交う幅広い種類の交差点を生み出すことにもつながります。

トヨタHPより引用

 

著名なデンマークの建築家であるビャルケ・インゲルス氏が、都市計画をプロデュースする。

これは、ますます高齢者が必要なので、

母が入庫する余地が十分あるかもしれません。

 

実証実験のテーマは以下のとおり、

自動運転をはじめ、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、AI技術など。

ここにないのは、

いまのところ、

ロケットと、飛行機ぐらいでしょうか。

 

 

彼らは、シムシティ(ちょっと古い)、

今だとマイクラ、のようなバーチャル世界で街を作る。

「独自のデジタル・オペレーティング・システム」から開発する。

 

そして、実際の街に、さきほどのコンセプトに加えて以下のアイデアを盛り込む。

 

  • 街の建物は主にカーボンニュートラルな木材で作り、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティを前提とした街作りを行います。
  • 暮らしを支える燃料電池発電も含めて、この街のインフラはすべて地下に設置します。
  • 住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証するほか、センサーのデータを活用するAIにより、健康状態をチェックしたり、日々の暮らしに役立てたりするなど、生活の質を向上させることができます。
  • e-Paletteは人の輸送やモノの配達に加えて、移動用店舗としても使われるなど、街の様々な場所で活躍します。
  • 街の中心や各ブロックには、人々の集いの場として様々な公園・広場を作り、住民同士もつながり合うことでコミュニティが形成されることも目指しています。

 

トヨタは単に自動車を作るメーカーを脱皮して、

自動車に関するあらゆるサービスを手掛けていく会社になると宣言した。

この道筋の象徴が、このコネクティッド・シティ、「ウーブン・シティ(Woven City)」だ。

 

僕は、今から、ウーブン・シティにある母の新居に訪れる日を楽しみにして、わくわくしています。

投稿者 himico-blog