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トヨタの管理会計とは、続編

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河田信著「トヨタシステムと管理会計」中央経済社

◆財務会計との共生
◎ABCは「財務会計との共生」での評価では、TPSやTOCより高い

◎製品原価測定の正確性
─ものづくりの経営システムにおいて、正確な原価測定は重要である。しかし、
製品原価の測定精度は手法においてバラツキがある。例えば、期間原価の歪み
を是正した直接原価計算や、製造間接費を在庫原価から除外する
スループット改易は、期間損益の精度は高めるが、製品原価の測定精度は低い
ので、不均衡プロセスの場所で作られる製品の原価測定には適さない。

◆場所特性と手法特性のまとめ

◎20世紀「管理」の時代に登場した多くの経営者や管理手法に振り回されないように
するには、まず自分の所属する「場(fild)」である業種、業態、企業、部門の
特性を見極める場所特性分析を行う。この手順を踏まないで、その手法が今流行り
だからとか、他社もやっているから、あるいは社長の鶴の一声でやるといった
主体性のない手法選択は、ときに企業を滅ぼすことさえある。

◆伝統的「管理中心」アーキテクチャーの構造欠陥
◎20世紀の経営計画の立案過程の特徴は、中長期全社方針・利益計画が、個別製品別の検証が
不十分なままに、財務分析に基づく指標を「ROE何%」といった形で設定する「ピリオド計画」
であることだけだ。

◎短期経営計画作成段階に至って、年度予算実行の裏づけをとるために製品別の販売・生産・利益計画
を作成し、全体目標との擦り合わせが行われるのが普通。ピリオド計画からプロダクト計画に展開して、
検証を経た結果が再び年度計画というピリオドに戻る。結局、とどのつまりは、製品別の認識は
後退して、とにかくこれだけの利益を出そうという「本社ノルマ」が乗った形の短期総合予算が
「責任センター」別に割り付けられる。その結果、製品別視点から遊離した期間数値の一人歩きが
始まるということになりがちである。
経営計画の立案過程がこのようなピリオド計画中心になっている企業がトヨタシステムを
導入することは、至難であるといわざる得ない。

◆財務会計機能
◎財務会計情報は、通常月次決算に基づく月次役員会を軸に回転するフィードバック情報である。
このような「フィードバック」情報に依存した月次管理では遅すぎて今日のスピード経営に
対応できない。日々決算、さらに進んで問題発生の出会い頭をたたく「フィードフォアワード」的な
マネジメントに対するニーズが高まった。

◎外部志向プロセスである財務会計指標により「会計で管理する」という隔靴掻痒の「コントロール」を
行わないというだけであり、会計による「測定・評価」機能は、嵐のなかを航行する船をサポートする
羅針盤としてしっかり磨いてもらわないと困るのである。このような文脈を理解しないままに
「成果主義」を適用する組織体には、TPS導入は到底無理だといわざる得ない。

◆トヨタの管理会計とは

「これらの旧態依然たる管理会計、その中核にあるフル・コスティングは、トヨタグループの本社と幹部を
支配しているが、生産現場を支配していない」ということである。トヨタの工場においては、
ジョンソンの紹介するような生産システムが会計でコントロールされる風景はほとんど皆無である。
現場の人は、売上高も原価額も知らないまま全体最適の生産活動が進行する。その限りにおいて、
トヨタの経営をMBR(結果による経営)ではなく、MBM(手段による経営)であるとした
ジョンソンの指摘も正しいと思われる。

◆CSD(合流システム再設計法)の実地手順
1、現行製造システムについての「価値流れ図」を作成する
2、現行システムの「実物シュミレーション」を行うとともに、現在行われている「パフォーマンス
評価尺度」を確認する
3、将来システムの価値流れ図を描く
4、将来システムの「実物シュミレーション」を行うとともに、将来システムに対応する
「新しいパフォーマンス評価尺度」を設定する

◆CSDアプローチに成功する企業と失敗する企業がある。その成否をわけるもの

◎組織体の内奥に存在する目に見えない「トーン(調子)と精神性」を重視して、これを「システム設計の炎」概念
として提唱した。本書の主張するシステム再設計の3要素である「志」「俯瞰」「深耕」のうちの
「志」を磨いて、これが組織内に浸透すればシステム再設計を成功させる
「トーンと精神性」が形成されるものと思われる。

◆「リードタイム基準原価計算」VS「標準・全部原価計算」

◎トヨタのJIT(ジャスト・イン・タイム)は、現場が自主的に(本社に断りなく)始めたものである。
大野耐一氏も、財務上の影響までを予測してJITを推進したわけではない。当然、本社は、工場の利益の
大幅下方修正が避けられないという報告を受けて大野氏自身も驚く事態となった。悩んだ末の大野氏が結局、
「ワシが責任を持つ。そのまま続けよ。」と指示して、工場のJITの手綱を緩めず、既定方針を貫いた
ことが成功への道を拓いた。結局、半年後には、会計利益も好転したため、まもなくこの会計の論理と
生産の論理の問題は沈静化した。論理的決着がついたというより、工場のことは大野氏らにまかせて
よさそうだという、一種の棲み分けが成立したのであった。

◆生産と会計の調和・統合方法をめぐって
◎ゴールドラットは、TOCのために、財務会計とは別に「スループット会計」という管理会計を作ったが、
これでは解決にならない。一般に経営者とこれを支える財務マンにとって、財務会計と異なる計算構造は
如何にすぐれていても「お遊び」に過ぎない!

◆予算と実績どちらか1つあればよい─標準・標準差異

◆会計年度フリーの{YID(Year To Date)法」

◆報告書の俯瞰性を高めよ─「損益・キャッシュフロー結合計算書」の可能性

◆「全社から一個まで」を俯瞰する一元経営情報システムを志向せよ

◆MPRⅡの悲劇─生産と会計を無神経につないではならない

★この本は3~5回読み返さないと、血となり肉とはならないと、思えました。
先日、大野耐一氏の講演テープを聴いていたお陰で、氏に関する記述の部分は大変興味深く読めました。
このブログでも本を紹介しましたが、トヨタ式生産方式の礎を作った天才的な方だと思います。

本日は、この辺で。

 

 

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